本講義では、一つのテーマを定めて日本思想史を読み解く。本年度のテーマは「悪」。
「悪」に関する諸言説の読解・検討・批判を通して、日本における「悪」の思想を歴史的・多面的に把握する。
本講義では以下を目指す。
1)日本思想史上の「悪」の特徴、背景、その多様性を把握する。
2)レポート実作を通して、資料読解・考察・相互批判・説得力ある論の構築という人文科学の基本的手法を学ぶ。
日本、倫理、宗教
専門力 | ✔ 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
プリントを配布しての講義形式。スライドやビデオも活用する。また、講義内容に関連し、テーマを定めて少人数によるグループ・ディスカッションを課すこともある。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | イントロダクション:「悪」への招待─今なぜ「悪」か? | |
第2回 | 古代・中世の思想世界 | |
第3回 | 古代・中世と悪(1)神話の中の「悪」 | 『古事記』『日本書紀』 |
第4回 | 古代・中世と悪(2)「悪党」の横行 | 『今昔物語集』(11-12世紀)、『平家物語』 |
第5回 | 古代・中世と悪(3)「悪人」と救い | 『歎異抄』(13世紀) |
第6回 | 近世の思想世界 | |
第7回 | 近世と悪(1)赤穂事件、悪いのは誰か? | 『仮名手本忠臣蔵』(1748) |
第8回 | レポートのピアレビューとディスカッション | 第一レポートのピアレビューと改訂 |
第9回 | 近世と悪(2)国学にとっての「悪」 | 本居宣長『古事記伝』(1798) |
第10回 | 近世と悪(3)化政期における悪の深まり | 鶴屋南北『東海道四谷怪談』(1825) |
第11回 | 近代の思想世界 | |
第12回 | 近代と悪(1)「悪女」について | 尾崎紅葉『金色夜叉』(1892-1902) |
第13回 | 近代と悪(2)和辻哲郎にみる共同体の「悪」 | 和辻哲郎『倫理学』(1937-1949) |
第14回 | 近代と悪(3)悪の化身フー・マンチュー博士について | サックス・ローマー『怪人フー・マンチュー』(1913) |
第15回 | 近代と悪(4)丸山眞男とハンナ・アーレント | 丸山眞男『現代政治の思想と行動』(1956-1957) アーレント『イェルサレムのアイヒマン』(1963) |
プリント配布
参考文献は講義の中で随時紹介する。
第一レポート: 40%、第二レポート(期末): 60%
二回のレポート提出を必須とし、その内容によって評価する。詳細は初回授業で説明する。
なし