競争的意思決定状況を数理的に扱うための理論である非協力ゲーム理論の基礎と、そこから派生したさまざまな理論を、ディスカッション、グループワーク、講義、演習を通じて取り扱う。
非協力ゲーム理論の基礎的枠組みとしての「標準形ゲーム」、「展開形ゲーム」、「繰り返しゲーム」、そして、非協力ゲーム理論から派生した理論である「メタゲーム理論」、「コンフリクト解析」、「ハイパーゲーム理論」、「ソフトゲーム理論」についてのさまざまな概念の数理的な定義と分析方法を与えることで、各枠組みや理論の特徴を理解させることが本講義のねらいである。
本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1) 競争的意思決定状況を数理的に扱うための理論で使われる概念の定義を他者に伝えることができる。
2) 競争的意思決定状況を数理的に扱うための理論における分析方法を他者に伝えることができる。
3) 競争的意思決定状況を数理的に扱うための理論の特徴を他者に伝えることができる。
標準形ゲーム、展開形ゲーム、繰り返しゲーム、そして、非協力ゲーム理論から派生した理論であるメタゲーム理論、コンフリクト解析、ハイパーゲーム理論、ソフトゲーム理論
✔ 専門力 | ✔ 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
1つの理論につき2回または3回の授業を使う。
1回目の授業では、その理論で記述できる意思決定状況の例について、受講生が、はじめは1人で、次に他の受講生とペアで、さらに4人のグループで、最後に受講生全体で検討する。その後、取り上げた理論についての講義と演習を行う。授業の最後に、個人の考察や他の受講生の考え、講義、演習を通じて学んだことを、受講生それぞれが「サマリー・レポート」に書いて提出する。
2回目および3回目の授業では、1回目の授業と同様、その理論における分析方法を、ディスカッション、グループワーク、講義、演習を通じて学び、「サマリー・レポート」を提出する。
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | 標準形ゲームの枠組み | 標準形ゲームの定義と特徴を述べよ。 |
第2回 | 標準形ゲームの分析 | 標準形ゲームの分析方法を説明せよ。 |
第3回 | 標準形ゲームの応用 | 標準形ゲームの応用例を説明せよ。 |
第4回 | 展開形ゲームの枠組み | 展開形ゲームの定義と特徴を述べよ。 |
第5回 | 展開形ゲームの分析 | 展開形ゲームの分析方法を説明せよ。 |
第6回 | 繰り返しゲームの枠組み | 繰り返しゲームの定義と特徴を述べよ。 |
第7回 | 繰り返しゲームの分析 | 繰り返しゲームの分析方法を説明せよ。 |
第8回 | メタゲーム理論 | メタゲーム理論の特徴を述べよ。 |
第9回 | メタゲーム理論における分析 | メタゲーム理論における分析方法を説明せよ。 |
第10回 | コンフリクト解析の枠組み | コンフリクト解析の特徴を述べよ。 |
第11回 | コンフリクト解析における分析 | コンフリクト解析における分析方法を説明せよ。 |
第12回 | ハイパーゲーム理論 | ハイパーゲーム理論の特徴を述べよ。 |
第13回 | ハイパーゲーム理論における分析 | ハイパーゲーム理論における分析方法を説明せよ。 |
第14回 | ソフトゲーム理論 | ソフトゲーム理論の特徴を述べよ。 |
第15回 | ソフトゲーム理論における分析 | ソフトゲーム理論における分析方法を説明せよ。 |
猪原健弘、「合理性と柔軟性-競争と社会の非合理戦略I」、勁草書房、2002年(1.1節、2章、3章、4章、5章)(ISBN-10: 4326502223、ISBN-13: 978-4326502226)
猪原健弘、「感情と認識-競争と社会の非合理戦略II」、勁草書房、2002年(ISBN-10: 4326502231、ISBN-13: 978-4326502233)。講義資料はOCW-iか授業中の配布により与える。
成績評価は、毎回の授業で提出する「サマリー・レポート」(合計50%)と期末試験(50%)に基づいて行う。
意思決定問題への興味があることが望ましい。「意思決定論A」を履修済みであること、または、同等の知識があることが望ましい。
猪原健弘(いのはらたけひろ)、inostaff[at]shs.ens.titech.ac.jp
メールで事前予約すること。担当教員の居室は西9号館8階813号室。
当講義は理学の内容を含む。