本講義は、近代以降の都市文化の諸相について扱います。この講義での「都市」とは、たんなる建築的な構造物ではなく、そのなかに住まう人間の営みと構造物との関係によって生み出されている都市表象のことです。授業は教員による講義と、学生のディスカッションとグループ発表で構成されます。「都市はテクストである」という観点から、都市を扱った文化理論や「テクストとしての都市」を読解するための言語理論を紹介し、その理論を出発点に、都市を扱った芸術作品で描かれている表象を分析します。授業を通してふだん見過ごしている都市の諸相に気づく想像力と、都市の未来像を描く理論的・歴史的・言語論的な知識を学生に提供することが本講義の狙いです。
本講義では以下の能力の修得を目標とします。
(0)都市空間で自分の日常生活を取り囲んでいるエレメントに気づく面白さを知ること
(1)近代都市を構成する諸要素とその意味や機能を理解すること
(2)(1)にかかわる文化理論に親しむこと
(3)近代都市を扱った芸術作品に触れ、その背景となっている都市の歴史・社会・文化を知ること。
(4)芸術作品における「視点」や「主体性」といった問いにアプローチするための理論的なコンセプトを理解すること。
近代都市表象 文学 映画 写真 建築 日常生活 メディア論 グループワーク
専門力 | ✔ 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
授業は教員の講義と学生のディスカッションで構成されます。
(0)授業前:前週に課題となるエッセイ(長くても15頁程度)を配布します。その論文を読み、感想をワークシートに記入します。内容にかかわる写真を日常生活から何枚か撮影してください。
(1)それぞれの写真を見せ合いながら、論文の内容やそれをもとに日常で気づいたことをディスカッションします。
(2)教員が知識を補足します。
(3)授業のテーマを扱っている芸術作品を紹介します。
(4)グループディスカッションをとおして作品分析をします。
(5)ディスカッションのフィードバックを行います。教員が内容を補足します。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 授業ガイダンス 都市の見方(視点とエレメント) | 都市の基本的なエレメントを理解すること |
第2回 | 都市表象と媒介としてのメディア(何でどのように都市が表現されてきたのか) | 媒介の作為性とメディアによって構成される主体性について理解すること |
第3回 | システム/ネットワークとしての都市(インフラストラクチャーと日常生活) | 都市生活者の環境として都市システムの諸相(テクノロジーや情報交換システム)を理解すること |
第4回 | ユートピアとしての都市像(「未来都市」の系譜、ジェンダー問題) | ユートピアの基礎概念とユートピア文学の歴史のを知ること |
第5回 | 記憶装置としての都市(歴史的建造物・廃墟・ノスタルジア) | 都市における歴史的・集合的記憶の表出と演出を知ること |
第6回 | 室内と室外(都市風景のなかの自然像、室内の生活像) | 室内と室外の境界が構築されてきた歴史を知ること |
第7回 | まとめと学生発表の準備 | 本講義の概観を復習すること |
第8回 | 学生発表 | お互いの発表をききあい、意見交換をするコミュニケーション技術を高めること |
授業で配布する資料
Miles, M., Hall, T., & Borden, I. Eds. (2004). "The City Cultures Reader" (2nd ed., Routledge urban reader series). London: Routledge.
Jackson, J. (1980). "The Necessity for Ruins : And Other Topics". Amherst: University of Massachusetts Press.
(より詳細な文献表は授業初回で配布します。)
ワークシート 30% 授業ディスカッション 25% 発表 45%
特になし
授業内容や週ごとの予定は履修人数によって変更する可能性があります。必ず初回の授業に参加して、授業内容等を確認してください。