本講義は、毎火曜日に行われる第一部(数学史)と毎金曜日に行われる第二部(生物学史・地質学史)の2つの部分に分かれている。
第一部(数学史):近代以前の東アジアの数学史を概説する。前半は古代・中世の中国数学を講義し、後半は近世日本の数学史を講義する。近代以前の東アジアに存在した数学を概観することで、現代数学に繋がる近代西洋数学との対比を考察するための素材を提供する。
第二部(生物学史・地質学史):
数学史:1)古代中国の数学の社会的背景を理解する
2)江戸時代の数学の特質を理解する
生物学史/地質学史:
古代から現代に至る科学の歴史をたどってゆくと、16、17世紀からだんだんと近代化され、現代化されていくのを理解する。さらに、それぞれの時代で科学が社会の中でどんな位置にあったかも理解する。また、女性が科学の中でどんな位置にあったかということも考えていきたい。こうした試みをつうじて、科学の時間軸(歴史性)と空間軸(社会性)を形成し、科学の「いま」への理解を深めていく。
数学史:数学史 東アジア 和算
生物学史、地質学史:科学史、16・17世紀、19世紀、天動説、地動説、自然史、地質学、恐竜、大陸移動説、プレートテクトニクス、生物学
✔ 専門力 | ✔ 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
数学史:毎回、1テーマを講義する。講義最終時に感想と質問カードを記して提出する。配付資料による事前学習をすることが望ましい。
生物学史、地質学史:1回の授業に一つのテーマを扱う。毎回の授業には、視聴覚教材を導入し、それに基づいて、講義し、最後に5分程度の感想・質問を感想カードに書く。
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | 数学史:古代中国の数学 | 古代中国の社会と数学の関係を知る |
第2回 | 生物学史・地質学史:恐竜の復元から学ぶこと | 19世紀、過去の未知の生物の存在が知られ、科学的に復元しようとした。 |
第3回 | 数学史:古代中国の数学と天文学 | 古代中国における天文学の役割を知る |
第4回 | 生物学史・地質学史:地動説のほうが科学的? | 天動説は現実の天体の運動をよく説明していた。 |
第5回 | 数学史:中世中国の数学 | 中国数学における方程式の取り扱い方 |
第6回 | 生物学史・地質学史:ガリレオはひとりで戦ったか | 世界で最初の 学会、山猫アカデミー |
第7回 | 数学史:そろばんと実用算術 | そろばんによる算術の展開を知る |
第8回 | 生物学史・地質学史:あまり「進化する」とはいわないで | ダーウィンの進化説とは何か、どうやって考えていったか |
第9回 | 数学史:江戸時代の数学 | 江戸時代の社会と数学の関係を知る |
第10回 | 生物学史・地質学史:ダーウィンは地質学者 | 地質学者故に進化論を創設できた |
第11回 | 数学史:関孝和と建部賢弘 | 2人の数学者の歴史的位置付けを考察する |
第12回 | 生物学史・地質学史:女性地質学者の嚆矢 | 誰が化石の絵を描き、誰が化石を掘ったか。 |
第13回 | 数学史:江戸時代の数学と天文学 | 日本の天文学の特質を知る |
第14回 | 生物学史・地質学史:大陸移動説からプレートテクトニクスへ | 大陸移動説の誕生、消滅、復活の歩み |
第15回 | 数学史:江戸時代の測量術 | 測量術の歴史的展開を知る |
第16回 | 生物学史・地質学史:DNA研究とロザリンド・フランクリン | 20世紀女性生物学者の嚆矢 |
数学史:指定しない
生物学史、地質学史:特定のテキストは使用しない。
数学史:講義資料を講義時に配付する。
生物学史、地質学史:以下の3冊は担当教員が執筆しているので、授業内容をよく補完する。
吉川惣司・矢島道子『メアリー・アニングの冒険-恐竜学をひらいた女化石屋』2003年 朝日選書
矢島道子・和田純夫編『はじめての地学史・天文学史』2004年 ベレ出版
矢島道子『化石の記憶―古生物学の歴史をさかのぼる』2008年 東京大学出版会
数学史:中間レポート(50%) 学期末試験(50%)
生物学史、地質学史:個別レポート(40%)総合レポート(40%)と感想カード(20%)
数学史:特になし
生物学史、地質学史:科学史Aを聴講しておいたほうがよいが、義務ではない。