講義の概要
この講義は予備知識の有無にかかわらず、経済学に関心のあるすべての学生を対象としている。現在、他分野を専攻している(する予定である)学生で、他の学問分野についても勉強してみたい学生に適した講義内容となっている。講義では、具体的な事例を通じて経済学者の思考法を紹介する。現実的な具体例を用いることで、抽象的な理論やそこで用いられている数学の知識を学ぶことなく、実践的な経済分析のノウハウを学ぶことができる(もちろん、分析に使われている数学や統計的な手法を知ることでより深い理解を得ることができる)。講義ではミクロ経済学、マクロ経済学、そして計量経済学に関するトピックを扱う。ミクロ経済学は家計や企業といった個々の主体を扱う分野であり、マクロ経済学はGDPや失業率といった集計データを扱う学問である。また、計量経済学はミクロ経済学やマクロ経済学で提示された理論仮説の妥当性を現実のデータを用いてどのように検証するか、を分析する分野であり、これは自然科学における実験手法に相当する。
経済学は日常生活における様々なものごとを理解するうえで非常に便利な道具であり、経済学を専攻する学生はもちろんのこと、そうでない学生であっても基本的な経済学の知識を知っておくことは重要である。『経済学者のように考えること』で、人生においてより良い意思決定や予測を行い、さらに様々な疑問に対して的確な答を導けるようになることが本講義のねらいである。
この講義を学ぶことで、学生は様々な事例について経済学者のように考えるための知的な枠組みを習得することを目標とする。経済学者のように考えるとは具体的に、
1) 経済学者が頻繁に利用する、単純な分析ツールに関する知識を習得しており、
2) 分析対象の構造を分析ツールの組み合わせによって理解し、
3) 仮にその仕組みがうまく機能していないのであれば、単純でわかりやすい解決手段を提示できる
ことを指す。
ミクロ経済学、ゲーム理論、マクロ経済学、計量経済学
専門力 | ✔ 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
1時間程度の講義を行った後、講義内容についてクラス内で30分程度議論する予定である。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | ガイダンスと授業内容の紹介 | (1)マンキュー1章~3章 (7)コイル |
第2回 | ミクロ経済学 | (1)マンキュー4章~7章 (5)ベッカー・ポズナー |
第3回 | ミクロ経済学 | (6)アドシェイド |
第4回 | ミクロ経済学:ゲーム理論 | (2)ディキシット・ネイルバフ |
第5回 | マクロ経済学 | (1)マンキュー10章 |
第6回 | マクロ経済学 | (1)マンキュー11章 |
第7回 | 計量経済学 | (3)(4)レヴィット・ダブナー |
第8回 | 計量経済学 | (3)(4)レヴィット・ダブナー |
教科書は指定しない。
講義資料
講義はPowerPointスライドを利用して行われる。スライドのファイルは授業後にアップロードする予定である。
参考書
1) N.グレゴリー マンキュー『マンキュー入門経済学(第2版)』東洋経済新報社
2) アビナッシュ ディキシット/バリー ネイルバフ『戦略的思考とは何か-エール大学式「ゲーム理論」の発想法-』阪急コミュニケーションズ
3) スティーヴン・D・レヴィット/スティーブン・J・ダブナー『ヤバイ経済学[増補改訂版]』東洋経済新報社
4) スティーヴン・D・レヴィット/スティーブン・J・ダブナー『超ヤバイ経済学』東洋経済新報社
5) ゲーリー・S・ベッカー/リチャード・A・ポズナー『ベッカー教授、ポズナー判事の常識破りの経済学』東洋経済新報社
6) マリナ アドシェイド『セックスと恋愛の経済学:超名門ブリティッシュ・コロンビア大学講師の人気授業』東洋経済新報社
7) ダイアン・コイル『ソウルフルな経済学―格闘する最新経済学が1冊でわかる』インターシフト
出席その他授業内評価:30%
期末試験:70%
特になし。