2018年度 地球・地域生態学概論   Introduction to global and local ecology

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開講元
融合理工学系
担当教員名
灘岡 和夫  中村 隆志 
授業形態
講義     
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
月1-2(H136)  木1-2(H136)  
クラス
-
科目コード
TSE.A312
単位数
2
開講年度
2018年度
開講クォーター
1Q
シラバス更新日
2018年3月20日
講義資料更新日
2018年5月18日
使用言語
日本語
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講義の概要とねらい

 地球温暖化や海洋酸性化などのグローバルな環境変動や水質汚濁などのローカルな人為的ストレスは,様々な生態系に複合的に作用し,深刻な影響を及ぼしている.その内容を定量的に把握するためには,まず,地球・地域環境システムおよび生態系が維持されている基本的メカニズムや,生態系のストレス応答過程を理解することが必要となる.その上で,生態系に作用するグローバル・ローカル複合環境ストレスの実態と,その要因となっている人間・社会システム構造との関連性について明らかにする必要がある.そして,生態系を保全し持続可能な社会を構築するためには,環境負荷の生成要因であると同時に制御主体としての側面も有する人間・社会システムと生態系との相互作用過程を明らかにし,それに基づいて社会-生態統合系としてのシステム全体のあり方を検討することが重要となる.
 この講義を通して,地球・地域環境システムや生態系の維持機構について理解するとともに,複合的環境変動下における生態系のダイナミクスや環境-生態系の相互作用,さらには,社会-生態統合系として問題を捉えることの重要性について理解することを目指す. そして,その目的のためには多角的・広域的・統合的な取組みが不可欠となることを,様々な事例を通じて示す.また,一連の講義と具体的なテーマを選定した上でのグループ討議を通じて,そのような観点からの問題構造の把握や解決策の提案の能力を養うことを目標とする.

到達目標

この講義を履修することによって,
(1) 地球・地域環境システムや生態系の維持機構について理解し,
(2) 複合的環境変動下における生態系のダイナミクスや環境-生態系の相互作用について理解し,
(3) 環境問題を社会-生態統合系として多角的・広域的・統合的に把握することの重要性を理解することで,
(4) 様々な観点からの問題構造の把握や解決策の提案能力が養われる.

キーワード

生態学,地球環境,地域環境,生態系,環境保全,社会-生態統合系

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

第1回~第11回は通常の講義スタイルで授業を進め,第12回~15回は生態系保全・再生に関わる具体的なプロジェクト事例についてテーマを設定し,それについてのグループ・ディスカッションとその成果をまとめた発表会ならびにレポート作成を行う.

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 イントロダクション,生態環境システムの特徴/危機にある生態系 地球・地域環境システムや生態系の特徴とその危機的な状況について俯瞰的に理解する.
第2回 地球規模環境変動と変動要因 現在の地球環境変動の現状を俯瞰し,その要因を理解する.
第3回 物質循環と生態系,生物多様性 生態系を理解するうえでの必須となる素過程および,生物多様性の重要性について理解する.
第4回 数理生態学の基礎と生態系モデリング 生態系の動態を表す基本方程式やモデリングにおける基礎を学ぶ.
第5回 閉鎖性内湾域の生態環境問題 東京湾や有明海など,閉鎖性の強い内湾環境における環境問題について実例とともに解説する.
第6回 干潟・海草藻場・マングローブ生態系の特徴と環境問題 干潟・海草藻場・マングローブ生態系の特徴と環境問題について実例とともに解説する.
第7回 サンゴ礁生態系の特徴と環境問題 サンゴ礁生態系の特徴と環境問題について実例とともに解説する.
第8回 ローカル/グローバル複合影響下での生態系応答 ローカル/グローバル複合影響下での生態系応答について,その理解の重要性と難しさについて解説する.
第9回 沿岸生態環境システム保全・再生に向けての基本フレーム (1) 沿岸生態環境システム保全・再生計画の事例,保全・再生の基本理念,複合ストレスの包括的把握と評価,海洋保護区の考え方などについて理解する.
第10回 沿岸生態環境システム保全・再生に向けての基本フレーム (2) 再生技術の可能性と限界,順応的管理,環境モニタリングの重要性,普及・啓発・環境教育・人材育成の重要性について理解する.
第11回 社会-生態統合系フレームから見た保全戦略 社会-生態統合系のフレームワークで生態環境問題を捉えることの重要性の解説と,レジリエンスの高い持続可能なシステムを如何に実現するかについて議論する.
第12回 グループディスカッション (1) グループ発表についてのテーマ決めと関連情報収集を行う.
第13回 グループディスカッション (2) テーマ決めと関連情報収集,ディスカッションを行う.
第14回 グループディスカッション (3) テーマに関するさらなる情報収集とディスカッション,発表準備を行う.
第15回 グループ発表会 ディスカッションを通してまとめた内容について発表する.

教科書

なし

参考書、講義資料等

講義資料等は必要に応じて講義前にOCW-iを通して配布する.

成績評価の基準及び方法

授業毎の小テスト/小レポート(40%),グループ発表(30%),レポート(グループ毎に提出;30%)によって総合的に評価する.

関連する科目

  • GEG.E511 : グローバル・ローカル変動環境下の社会ー生態系共存システム論
  • GEG.E401 : 地球環境システムと生態系のダイナミクス
  • TSE.A206 : 生物工学基礎
  • CVE.B310 : 海岸・海洋工学

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

なし

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