この科目は2つの講義から構成されている。講義の担当は,1Qは丸山剛生,2Qは須田和裕である。両方を受講しなければならない。
2つの講義の内容は以下となる。
<1Q講義>
バイオメカニクスは,力学や工学的方法を用いて人間の運動と行動を分析する学問分野であり,運動器の構造と力発揮の仕組み,力学的原則に従い人間がどのように効率的な動作を行っているのかを研究対象にしながら,映像も用いた動作解析が主な研究方法である。この分野の研究方法を理解することは,専門コースの研究活動に有益である。
本講義では,人間の行動と動作について,運動器の構造と力発揮の仕組みを理解し,動作解析装置を用いた解析方法とデータ解析法を修得し,実際の動作解析実習のデータを活用して分析できる能力を養う。
<2Q講義>
本講義では日常生活やスポーツ場面における人間の行動や動作を分析するためのバイオメカニクス分野における動作解析の方法論を学ぶ。本講義では身体運動を行う時のエネルギー供給システムを扱う。身体運動を理解する上で重要な運動強度の分類,身体各部を協調させる神経系,内分泌系による情報伝達,酸素を外界から取り入れる呼吸,酸素を体内で運搬する循環系,エネルギー源を供給する仕組みなどの知識を提供する。
身体運動を理解するにはエネルギー源や酸素がどのように筋に供給される知ることが重要である。この知識を得て,運動を目的に応じて行う能力を身につけて欲しい。
本科目を履修することにより次の知識と能力を修得する。
<1Q講義>
1)運動器の構造と力発揮の仕組みを理解し,身体の解剖学的な特徴を説明できる。
2)動作解析に用いられる装置や原理を理解し,DLT法を説明できる。
3)身体の運動を運動学的に分析する方法を理解し,関節運動についてオイラー角を用いた分析方法を説明できる。
4)身体の運動を動力学的に分析する方法を理解し,関節運動についてニュートン・オイラー法を用いた分析方法を説明できる。
5)取得したデータの解析方法を理解し,フィルター処理の方法を説明できる。
6)動作解析のデータを分析し,レポートとしてまとめることができる。
<2Q講義>
1)身体運動のエネルギー供給システムの観点から運動を分類する。
2)身体運動に必要な酸素を外界から取り入れる仕組みを説明する。
3)取り入れた酸素を筋に運搬する仕組みを説明する。
4)エネルギー源となる糖質,脂質を供給する仕組みを説明できる。
<1Q講義>
バイオメカニクス,動作解析,運動器,筋力,解剖学, DLT法,運動学,動力学,オイラー角,ニュートン・オイラー法,逆動力学,デジタルフィルター,残差分析,床反力,身体部分慣性係数,筋電位,A/D変換
<2Q講義>
身体運動のエネルギー供給システム,呼吸,循環,内分泌系,神経系
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
<1Q講義>
1)スライドを用いて講義をします。
2)毎回の講義の終わりに,その日の教授内容に関するショートレポートを書いてもらいます。
3)講義7回目に動作解析の実習を行い,そのデータを用いてレポートを書いてもらいます。
<2Q講義>
毎回授業の前半で講義します。その後受講生に関連する資料について調べていただきます。
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | バイオメカニクスと動作解析法の概要説明 | バイオメカニクスの研究課題と動作解析法を理解する。 |
第2回 | 運動学的動作解析 -身体座標系の定義 -オイラー法を用いた関節角度と角速度の算出 | 運動学的な動作解析を行うために必要な,身体座標系の定義,オイラー法による関節角度算出,関節運動の算出を理解する。 |
第3回 | 動力学的動作解析 -体節の定義と自由体図の表現 -ニュートン・オイラー法による逆動力学解析 | 動力学的な動作解析を行うために必要な,体節の定義と自由体図の表現,およびニュートン・オイラー法を用いた逆動力学解析を理解する。 |
第4回 | 画像を用いた動作解析 -DLT法 -デジタルフィルター | 画像を用いた動作解析に必要な,DLT法と信号処理を理解する。 |
第5回 | 動力学的動作解析のための計測法 -床反力計による計測 -身体部分慣性係数 | 動力学的な動作解析に必要な,床反力計による計測と身体部分慣性係数について理解する。 |
第6回 | 計測法と信号処理 -筋電位計測 -加速度計測 -A/D変換 | 筋電位と加速度の計測法とA/D変換について理解する。 |
第7回 | 動作解析実験 | 動作解析装置を使用し,データを取得する。 |
第8回 | 講義のまとめとレポートの書き方 | 講義全体の内容を理解し,動作解析結果についてレポートが書けるようになる。 |
第9回 | 身体運動のエネルギー | 各種運動について特徴から分類する |
第10回 | 神経系による情報伝達と運動 | 反射運動の神経伝達経路を説明する |
第11回 | 内分泌系による情報伝達と運動 | 運動中のホルモン動態を説明する |
第12回 | 呼吸による酸素の取り込みと運動 | 運動中の呼吸の調節について調べる。 |
第13回 | 循環系による酸素運搬と運動 | 運動中の循環系の調節について調べる。 |
第14回 | エネルギー源の供給 | 運動中の糖質,脂質の動態について調べる |
第15回 | コンディショニング | グリコーゲンローディングについて調べる |
第16回 | 運動中の心拍数測定 | 心拍計を装着し,運動を行い心拍数の計測を行う |
<1Q講義>
指定なし
<2Q講義>
須田和裕 他 「生理学」化学同人
<1Q講義>
授業で扱う全ての資料は,事前にOCW-iにアップする。
<2Q講義>
指定なし
<1Q講義>
毎回の授業内容を理解しているか,動作解析のデータを解析し,レポートを作成できるかを評価する。
配点は,毎回のショートレポート30点(5点×6回)と最終レポート70点である。
<2Q講義>
授業中の発表(30%),レポート(70%)
<1Q講義>
指定なし
<2Q講義>
1Qの講義を受講済みであること。
当講義は理学の内容を含む。