この授業では現在の人類の諸文化における音楽づくりの課題に取り組みます。音楽を通した国際的な経験、「ワールド・ミュ―ジク」、音楽とエコロジーなどをテーマとした優秀な研究家による論文を読みながら、ケーススタディとなるそれらのテーマに関する音楽を聞きます。この授業ではリスニングが重要な役割を持ちます。音楽そのものの要素(歌における歌詞を含む)が音楽家にとってそれらのテーマと直結していることを検証します。
本講義は、次のような知識や能力を身につけることを目指す。
・「ワールド・ミュ―ジク」という表現の現在や歴史的使い方
・音楽による異文化間の経験を分析的に理解・説明するための基本概念や単語
・エコロジーと音楽学と交わりの可能性
・音楽と政治との関わり(特に歌の例)
・音楽による「場」とアイデンティティ(特に日本の場合)
intercultural experience, world music, ecology, globalisation, identity
専門力 | ✔ 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
(1). 授業の前に指定された文章を読み、音楽教材の抜粋を聞く。 毎週履修する人数により1人か2人は質問あるいは討論課題を担当します。
(2)各授業においては指定された章の感想についてディスカッションを行います。質問や討論課題には、全員積極的に参加することを期待されます。
(3)第8週には教員が承認したテーマについて短い個人プレゼンテーションを行います。(プレゼンテーションに基づいたペーパー/ 小論文を授業後1週間以内に提出することとなります。)
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | シラバスの紹介と解説。音楽に関する興味や経験についてのディスカッション。「ワールド・ミュ―ジク」とは何か。 | Bohlman 2002 |
第2回 | 音楽を通じての異文化経験 1 ケーススタディ−1:和太鼓 | de Ferranti 2006:"Japan beating: the re-making of taiko drum music in contemporary Australia." |
第3回 | 音楽を通じての異文化経験 1 ケーススタディ−:オーストラリアの原住民の音楽 | Neuenfeldt 1997: The Didjeridu: From Arnhem Land to Internet |
第4回 | エコ音楽学 | J.F. Titon 2013: "The Nature of Ecomusicology" |
第5回 | 音楽と場所(ロケーション)-音楽を通じた、場(所)における空間と感覚の変化 | 音楽と動きについての読解及び一つ以上のケーススタディ−: 東京のモールにおける音楽、Missisippi hill countryブルーズ、北アイルランドのフィドラーたち、津軽民謡など |
第6回 | 歌のこと:歌の奥, 抵抗の歌、禁忌の歌、秘められた歌,など | Frith 1989 "Why do songs have words?" Unsongs https://www.noahpreminger.com/buy/noah-preminger-mediations-on-freedom |
第7回 | 「日本の音楽」とは何ですか? ケーススタディ−: 琵琶、尺八 | de Ferranti 2017: "The place of biwa" Keister 2004 : "The shakuhachi as spiritual tool" |
第8回 | 学生が提案したテーマについての個人プレゼンテーション。 勉強してきた民族音楽学による概念や方法についての理解を示すこと。(プレゼンテーションに基づいたペーパー/小論文を授業後1週間以内に提出する。) | 勉強してきた音楽研究による概念や方法についての理解を示すこと。 |
readings and listenings on OCWi and WWW
授業における議論の流れに則して適宜紹介する。
課題:30%
授業への取り組み:30%
期末 presentation and レポート:40%
音楽学や音楽理論に関する高いレベルの知識や経験は必要ありません(このことについて質問があれば授業開始より前にe-mailにてお知らせください)。必須事項は、音楽をじっくり聞き、音楽を深く理解したいという願望を持ち、なぜ人間が音楽無しでは生きられないのか知りたいと希望すること、また、音楽について理論的に考察し、話し、描くことができるようになることが目的です。また、英語で読み書きできることも必須です。
Ideally students would take this course in sequence in 2017, following Graduate Lecture in Culture and Arts S1A.