本講義の主題は「健康の評価方法」である。「健康とは、身体的、精神的、ならびに社会的に完全に良好な存在(Well-being)の状態であって、単に病気や脆弱でないということにとどまらない」というWHOの健康の定義に則り、各側面の評価方法および生理的側面の評価方法について取り扱う。特に、生理的側面を中心的に扱い、心理生理学の分野で広く用いられている自律神経系および内分泌系の指標を取り上げる。講義、グループワーク、実験(自律神経系活動の計測・データ解析)を通じて、心身の健康を多面的に分析できる能力を涵養する。
「健康」という切り口から人間を多面的に理解する力、自律神経系活動を計測・解析する能力、生理的側面の評価にあたって研究目的に応じた適切な指標を選択する能力を涵養することが本講義のねらいである。
本講義を履修することによって次の知識と能力を修得する。
1)「健康」を多面的に定義できる。
2)ストレスの心理生理学的反応のメカニズムを説明できる。
3)自律神経系活動を計測し、解析できる。
4)研究目的に応じた測定すべき適切な生理的指標を説明できる。
健康、心理生理学、ストレス、自律神経系、内分泌系、心拍
✔ 専門力 | 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
各側面からの健康の評価法について2~3回の授業を行う。
1回目の授業では、まずグループでどのように評価できるか検討し、その後現時点での代表的な評価方法について説明する。第2回目の授業では、各自が関心のある評価法に関する最新の研究論文を持ち寄り、グループでそれらの評価法を分類し、クラスで発表する。各側面からの健康の評価法の最終回に、講義、グループワークを通じて学んだことを、受講生それぞれが「サマリー・レポート」に書いて提出する。
それ以後、第10回の「生理的側面から評価する健康3」までは前述のように行う。その後は、実験を終えた後「最終レポート」を提出する。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 健康の定義 | 健康の定義を述べよ。 |
第2回 | 心理的側面から評価する健康1 | 心理的側面からの健康の評価方法について説明せよ。 |
第3回 | 心理的側面から評価する健康2 | 各種心理的評価方法について特徴から分類せよ。 |
第4回 | 身体的側面から評価する健康1 | 身体的側面からの健康の評価方法について説明せよ。 |
第5回 | 身体的側面から評価する健康2 | 各種身体的評価方法について特徴から分類せよ。 |
第6回 | 社会的側面から評価する健康1 | 社会的側面からの健康の評価方法について説明せよ。 |
第7回 | 社会的側面から評価する健康2 | 各種社会的評価方法について特徴から分類せよ。 |
第8回 | 生理的側面から評価する健康1:ストレス反応の観点 | ストレス反応メカニズムを説明せよ。 |
第9回 | 生理的側面から評価する健康2: | 生理的側面からの健康の評価方法について説明せよ。 |
第10回 | 生理的側面から評価する健康3: | 各種生理的評価方法について特徴から分類せよ。 |
第11回 | 自律神経系活動の計測方法:心拍、皮膚電位など | 自律神経系活動の計測方法を説明せよ。 |
第12回 | 心理的ストレス実験1:計画 | 心理的ストレス実験の計画を立てよ。 |
第13回 | 心理的ストレス実験2:実施 | 心理的ストレス実験の実施において注意すべき点を説明せよ。 |
第14回 | 自律神経系活動の解析方法 | 自律神経系活動の解析方法を説明せよ。 |
第15回 | 講義のまとめとレポートの書き方 | 実験結果について日本心理学会の大会抄録形式でレポートを作成せよ。 |
なし。
講義資料はOCW-iか授業中の配付により与える。
業中のディスカッション、グループ・ワーク、実験への積極的な参加が望まれる。各側面からの健康の評価について各自で調べてきたものをショートレポートとしてまとめ、グループワークで活用し、グループワークの分析結果と考察についてのレポートを作成して提出してもらう。さらに、実験の結果をレポートにまとめて提出してもらう。
成績評価は、授業で提出する「サマリー・レポート」(合計40%)、最終レポート(40%)、発表(合計20%)に基づいて行う。
学術論文データベース(EBSCOhost, Web of Science Core Collection, PubMedなど)での論文検索に慣れていて、人間を多面的に理解することに興味があることが望ましい。
永岑 光恵(ながみね みつえ)、nagamine.XXX[at]XXX.titech.ac.jp
メールで事前予約すること。
当講義は理学の内容からなる。