[講義の概要]電波・光・音波など,調和振動する線形波動の現象を定式化し,境界条件が与えられた物体における波動の散乱を計算機により数値的にシミュレーションする手法について説明する.
[ねらい]調和振動する線形波動がどのように伝搬し,与えられた境界条件に対してどのような散乱が起きるかを様々な手法で予測する技術を修得して欲しい.
調和振動する線形波動が境界条件が与えられた物体において散乱する様子を,問題の規模や計算量,許容される誤差に応じて適切な計算機シミュレーション手法を選択して予測することができる.
波動方程式,ヘルムホルツ方程式,キルヒホフ-ホイヘンスの原理,グリーン関数,ディリクレ条件,ノイマン条件,固有関数展開法,物理光学法,境界要素法,境界積分方程式,有限要素法
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
講義で構成し,課題に関し理解を深めるための宿題を課す.
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 波動方程式とヘルムホルツ方程式 | 線形波動現象を支配する方程式を求めよ. 波動方程式に調和振動を仮定し,ヘルムホルツ方程式を導出せよ. |
第2回 | グリーン関数による波動関数の表現 | ヘルムホルツ方程式よりキルヒホフ・ホイヘンスの原理を導出せよ. ヘルムホルツ方程式に対する自由空間のグリーン関数を求めよ. |
第3回 | 固有関数展開法 | 直角座標系におけるグリーン関数を固有関数展開法により表わせ. |
第4回 | 物理光学法 | 円筒による波の散乱を物理光学近似によりシミュレーションせよ. |
第5回 | 境界要素法(1): 境界積分方程式 | ディリクレ条件およびノイマン条件に対する境界積分方程式を導出せよ. |
第6回 | 境界要素法(2): 積分方程式の離散化 | 境界積分方程式を境界要素法により離散化し連立一次方程式を求めよ. |
第7回 | 有限要素法 | 重み付き残差法を用いて有限要素法を定式化せよ. |
学修効果を上げるため,配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する復習(課題含む)をそれぞれ概ね200分を目安に行うこと.
OCW-IまたはT2SCHOLAより資料を配布する.
R. C. Booton, "Computational Methods for Electromagnetics and Microwaves", John Wiley & Sons, 1992.
毎回の宿題(10点×7回)および期末レポート(30点)
偏微分方程式,ベクトル解析,フーリエ解析の知識を有すること.
takada[at]tse.ens.titech.ac.jp