本講義の前半では,持続的開発の概念が開発分野で取り上げられきた背景,その歴史と現在の動向を分野別に整理し,持続可能な開発目標などの知識を身に付けるとともに,持続的開発に関する具体的な課題を,グループワークにより統合的な開発モデルについて議論する.後半は,担当教員らが現在実施している開発プロジェクトを例に取り,グループワークによるステークホルダー分析を通じて,統合的な開発マネジメントの考え方を学び,持続可能な開発の定義および今後の在り方について議論する.
持続的開発は1980年代後半から国際開発分野で議論されてきた新たな流れであるが,「ミレニアム開発目標」への到達を目指す中でその定義,理解が進化してきたものである.2015年には,後継となる「持続可能な開発目標」が設定され,文字通り持続的開発が開発目標の中心概念と位置づけられた.本講義では,持続可能な開発目標へ至る国際開発の変遷を講義するとともに,具体的な開発プロジェクトを題材に学生自らがグループワークを通じて開発プロジェクトに関する持続可能性とマネジメントについて考えを巡らせる場を提供し,問題分析・解決能力を養うことを目指している.
本講義を履修することにより,持続的開発の理念とその進化を歴史的背景と共に理解し,持続的開発を可能とする総合的なマネジメントを実現するために,状況の俯瞰,問題の分析,解決方法の議論とプレゼンテーションができるようになる.
開発プロジェクト,持続的開発,持続可能な開発目標,ステークホルダー
✔ 専門力 | 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
講義室はラウンドテーブル型にセットされ,講義とグループワークを組み合わせて進める.講義では,前の週に宿題として割り当てられた資料を下敷きに内容について議論しながら説明を進める.グループワークでは,3~4名の学生でグループを構成し,与えられた課題を分析して意見をまとめ,プレゼンテーションおよび討論を行う.
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 持続的開発の概念:ブルントランド報告書から「持続可能な開発目標」まで | |
第2回 | 人間開発:持続可能性と公平性 | United Nations, "The road to dignity by 2030: ending poverty, transforming all lives and protecting the planet", UN General Assembly, 2014 |
第3回 | グループワーク:持続可能な開発モデル | Selected reading from "Rio+20 Policy Briefs" website https://web-beta.archive.org/web/20131024191506/http://www.uncsd2012.org:80/rio20/index.php?menu=138 |
第4回 | ステークホルダー分析 | OECD-UNDP (2002), Sustainable Development Strategies: S Resource Book, Chapter 5, Earthscan Publications, Ltd. |
第5回 | 開発プロジェクトの事例:モンゴル | |
第6回 | 開発プロジェクトの事例:ラオス | |
第7回 | グループワーク:ステークホルダー分析 | モンゴルまたはラオスの事例におけるステークホルダー分析 |
第8回 | グループワーク発表,まとめ |
United Nations Development Program, Human Development Report 1990-2015
United Nations, "The road to dignity by 2030: ending poverty, transforming all lives and protecting the planet", UN General Assembly, 2014
Harris, Wise, Gallagher, and Goodwin, A Survey of Sustainable Development, Island Press, 2001
グループワークへの参加,プレゼンテーション(30点)を単位取得の必要条件とし,学期末に実施するステークホルダーの分析レポートにより,問題を発見し整理する力,論理的に問題の解決法を考える力を評価する(70点).
特になし