地球規模の気候変動リスクを低減するためのエネルギーシステムの変革が全世界で急速に進んでいる。本講義では、エネルギーシステムの設計に必要な基本的な考え方を学ぶ。エネルギー変換のプロセスを理解するためには、物質とエネルギーの流れやそれらの変換過程を把握した上で、それぞれの要素を統合化し、システム全体を構築する方法論が必要になる。すなわち、化学反応、平衡論と速度論、熱力学、移動現象論などの個別の基礎知識を理解した上で、それらの知識を統合的に駆使することで、新たなエネルギーシステムを自在にデザインできるようになる術の基礎を身につけてもらう。
本講義を履修することで、以下のスキルを身につけることができる。
1)エネルギー変換プロセスを物質とエネルギーの流れから理解できるようになる。
2)対象となるエネルギーシステムのエネルギー変換効率を予測できるようになる。
3)効率的なエネルギーシステムの設計の考え方を理解できるようになる。
物質とエネルギー、熱力学、速度論、熱の移動、低炭素・脱炭素エネルギーシステム
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
主として講義形式で進めるが、講義内容の理解を深めるため一部は演習形式で進める。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | エネルギー変換過程と第一法則 | エネルギーシステムにおける物質とエネルギーの流れと変換過程を把握し、具体的な事例の解説を通じて、システム全体の物質収支とエネルギー収支の重要性について理解する。 |
第2回 | エネルギー変換過程と第一法則 | エンタルピーの概念と保存則について理解し、対象システムの物質収支とエネルギー収支が計算できるようになる。 |
第3回 | エネルギー変換過程と第二法則、およびエクセルギー | エントロピーおよびエクセルギーの概念を理解し、エネルギー変換プロセスを第二法則の観点から把握できるようになる。 |
第4回 | 平衡状態と速度過程 | エネルギーシステムにおける化学平衡と反応速度の重要性を理解し、システム設計に利用できるようになる。 |
第5回 | 反応速度と反応器設計 | 典型的な反応器のタイプを学び、各種反応器における反応速度について取り扱えようになる。 |
第6回 | 熱の移動 | 伝導伝熱、対流伝熱、放射伝熱の3つの熱の移動の基礎について学び、システム設計における伝熱過程の重要性について理解する。 |
第7回 | 要素の統合化とエネルギーシステム設計の実際 | 第6回までに学んだ知識をベースに、二酸化炭素のゼロエミッションシステムの設計の実際を理解する(例:水素タービン、二酸化炭素回収・貯留プラントなど) |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する 予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
指定無し
講義中にプリントを配布
クイズおよびレポート
常微分および偏微分方程式の基礎知識