2023年度 熱力学基礎 J   Engineering Thermodynamics J

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開講元
融合理工学系
担当教員名
江頭 竜一  村上 陽一  はばき 広顕 
授業形態
講義    (対面型)
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
月3-4(I1-255(I123))  木3-4(I1-255(I123))  
クラス
J
科目コード
TSE.A204
単位数
2
開講年度
2023年度
開講クォーター
1Q
シラバス更新日
2023年4月3日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
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講義の概要とねらい

熱力学は幅広い理工学分野において基礎科目に設定されている近代自然科学の礎であるとともに、環境・エネルギー問題を論じ対策を考案・評価する際にも不可欠となる重要な基盤学理である。熱力学の適用先には宇宙論や生命科学なども含まれ極めて広範であるが、科学技術領域では、例えば地球温暖化対策技術の評価と実効性の判断、発電や冷暖房の評価と改善指針の提示、永久機関(原理的に実現不可能な技術)の判断、電池等での酸化還元反応や各種改質反応を含む幅広い化学反応現象の予測と記述、などが含まれている。本講義では履修者が熱力学への理解及びその利活用能力を修得し、理工人としての学理基盤を形成することを狙いとしている。

到達目標

熱力学の体系をなす基本法則群とそこから導かれる概念及び諸関係式とを理解し、それらを様々な具体的問題(環境・エネルギー問題など)に適用し、その定量評価や条件選定、改善指針の構築などを適切に行えるようになる能力を身につけること。

キーワード

科学の基本法則、物事の変化の向きの判断、エネルギー変換効率、エントロピー、自由エネルギー、エクセルギー、熱機関、冷暖房、化学反応、平衡

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

T2SCHOLAに掲載の講義資料を当該の講義に先立ってダウンロード、印刷し、これらを用いて予習しておく。授業当日に持参し、板書メモを取る。ペンタブレットでの板書メモも可。演習は「授業計画」に明記した以外にも各回の授業中に小演習を行う予定であり、毎回の授業には関数電卓を持参すること。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 授業概要、【1】 イントロダクション(熱力学を学ぶ意義、全体像)、【2】 熱力学の基盤(系、状態量、次元と単位、エネルギー、熱、平衡、理想気体、温度) 授業の内容を理解した上、それを具体的問題に適用し、利活用できるようになること。
第2回 【2】のつづき、【3】 熱力学の第1法則 (言葉による表現、第1法則の登場背景、熱と仕事、閉じた系の第1法則、移動境界仕事、経路、サイクル、状態量の性質 、開いた系の第1法則、エンタルピー、比熱と比熱比、理想気体の第1法則)
第3回 【3】のつづき、【4】 熱力学の第2法則 (サイクルの熱効率、成績係数、第2法則の言葉による表現、可逆vs不可逆過程、カルノーサイクル、カルノーの定理、熱力学温度目盛りと理論最大効率、エントロピーという状態量、エントロピーの性質、理想気体のエントロピー)
第4回 【4】のつづき、【5】 エネルギー有効利用とエクセルギー(最大仕事、エクセルギー、第2法則的効率、閉じた系のエクセルギーの一般表現、熱移動の第2法則的解析、自由エネルギー、エントロピーへの洞察、熱力学の利活用の例)
第5回 【5】のつづき
第6回 【6】純物質の相平衡(状態の決定、純物質の相図、熱力学の一般関係式、クラペイロン-クラウジウスの式、ジュールトムソン効果)
第7回 演習1およびその解説
第8回 【7】 多成分系の相平衡(1)(化学ポテンシャル、理想気体の化学ポテンシャル、ギブズの相律)
第9回 【8】 多成分系の相平衡(2)(2成分系の気液平衡、2成分系の固液平衡、2成分系の液液平衡)
第10回 【9】 溶液の熱力学(理想溶液、実在溶液と部分モル量、ギブズ・デュエムの式、理想溶液の熱力学的性質、活量と活量係数)
第11回 【10】 化学平衡(化学反応と反応進行度、平衡定数と自由エネルギー、圧平衡定数と濃度平衡定数、解離平衡、標準生成ギブズエネルギー、平衡定数の温度依存性)
第12回 【11】 化学反応の速度と機構(反応の速度、一次反応の速度式、二次反応の速度式、反応機構と速度式、酵素触媒反応の機構と速度、単分子気相反応、反応の速度の温度変化)
第13回 【12】 固体表面への吸着と不均一反応(吸着、不均一系の化学平衡、不均一分解反応の速度論)
第14回 演習2およびその解説

授業時間外学修(予習・復習等)

T2SCHOLAに掲載の講義資料を当該の講義に先立ってダウンロード、印刷し、これらを用いて予習すること(概ね100分程度)。それぞれの講義回、演習回の後に復習すること(概ね100分程度)。

教科書

以下を推奨。購入の必要なし。
- Y. A. Cengel and M. A. Boles, Thermodynamics: An Engineering Approach, McGraw-Hill (Edition in SI units)
- 熱力学 (JSMEテキストシリーズ),日本機械学会
- 渡辺,“セミナーライブラリ化学6 演習 化学熱力学” [新訂版],サイエンス社(2003)
- Atkins,Paula著,中野・上田・奥村・北河訳,”アトキンス 物理化学(上・下)” [第10版],東京化学同人(2017)
- Smith, Ness, Abbott, Swihart, “Introduction to Chemical Engineering Thermodynamics” 9th Edition, McGraw-Hill (2021)
- 吉岡著,“化学One Point 6 相律と状態図”,共立出版(1984)
- 杉本,“中公新書774 エントロピー入門”,中央公論新社(1985)
など。

参考書、講義資料等

各回の講義資料は授業前にT2SCHOLAにアップロードする予定。大学メールアドレスをよく確認すること。

成績評価の基準及び方法

演習など(4割程度)+期末試験(6割程度)で成績評価する。期末試験では専用の関数電卓を必ず持参すること(試験中はスマホ使用不可)。

関連する科目

  • TSE.A303 : 操作論
  • TSE.A343 : エネルギーシステム設計基礎論
  • TSE.A351 : 融合理工学実験A

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

特になし

連絡先(メール、電話番号)    ※”[at]”を”@”(半角)に変換してください。

江頭 竜一:regashir[at]tse.ens.titech.ac.jp・内線3584
村上 陽一:murakami.y.af[at]m.titech.ac.jp・内線3836
鎺 広顕:hhabaki[at]tse.ens.titech.ac.jp・内線2496

オフィスアワー

江頭:いつ来室しても構わない(ただし、不在、来客中,等の場合もあることを了解しておくこと)が、あらかじめ来室の旨を連絡することが好ましい。

村上:まず連絡先のメールアドレスにメールを送り、アポイントメントを取ること。簡単な質問であれば内線3836(03-5734-3836)にかけてきて頂いて構わない。

その他

上記の「授業計画」については,これを変更する場合がある。

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