講義概要:人と微生物のかかわりはBC5000年に遡るといわれている。当時は微生物の存在は確かめられていなかったが、経験的に発酵食品が作られていた。17世紀に微生物が発見され、19世紀に発酵をになう微生物の役割が明らかになって、様々な有用物質が製造されるようになった。その後、動物細胞、植物細胞についても細胞培養の技術が開発され、また、分子生物学の長足の進歩と相俟って、物質生産、農業、環境、医療の分野まで生物の機能を応用した技術が広く用いられるようになってきた。本講義では、生物の培養から機能の制御、応用にいたるまでの生物工学の基礎について学ぶ。
講義の目的:生物の培養から機能の制御、応用にいたるまでの生物工学の基礎について学ぶ。まず、他の微生物が混在しない単一の微生物のみの培養(純粋培養)における、微生物の増殖の特徴について理解し、定量的な表現を学ぶ。動物細胞、植物細胞の細胞培養は多くの点で微生物培養と類似の取り扱いが可能であるが、それぞれの細胞培養の特徴についても明らかにする。引き続いて、遺伝的改変の技術をも取り込んだ生物の機能制御の方法と生物機能の産業応用の実施例について理解し、環境応用については、複数の微生物が複雑な相互作用を及ぼしながら共存する複合微生物の系が物質循環と生態系の保全に果たす役割の定量的な表現を習得する。
微生物、酵素、速度論、代謝、バイオリアクター、遺伝子工学、生態系モデル
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
毎回の講義の導入部分で前回のまとめをおこなう。引き続いて、その回の講義の要点を教授するとともに、必要に応じ問題を解かせる。各回の学習目標をよく読み、予習・復習をおこなうこと。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 生命の起源と進化 | 生命の起源とされるいくつかの仮説や種の進化の様式について説明できる |
第2回 | 生物の代謝 | 細胞の好気呼吸や発酵などの代謝プロセスを説明できる |
第3回 | 光合成・一次生産 | 光合成のプロセスや生態系の一次生産と測定方法について説明できる |
第4回 | 酵素反応速度論 | 酵素反応速度の数式表現について説明できる |
第5回 | 生物の個体群動態 | 生物の増殖速度の数式表現や解の挙動を説明できる |
第6回 | 生態学の基礎と物質循環 | 生態学の基礎的事項や物質循環における生物の役割について説明できる |
第7回 | 生態系モデルと数値シミュレーション | 生態系のモデル化する上でのポイントや数値シミュレーションによるいくつかの応用例を説明できる |
第8回 | 生体を構成する分子 | DNA、RNA、タンパク質について説明できる |
第9回 | 遺伝子工学技術(1) | PCR、遺伝子組換えについて説明できる |
第10回 | 遺伝子工学技術(2) | 塩基配列の解析法について説明できる |
第11回 | 細胞培養技術 | 微生物、動物細胞の培養技術について説明できる |
第12回 | 組織培養技術 | 動植物の組織培養技術について説明できる |
第13回 | 免疫システムと応用 | 免疫システムの仕組みと応用(ワクチンなど)について説明できる |
第14回 | 環境応用・医用材料から再生医療へ | バイオテクノロジーの環境から医療にわたる広範囲な応用例を説明できる |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
担当教員が指定するもの。
必要に応じ講義開始時に資料を配付し、Power-pointを用いた解説を行う。講義で使用するPower-pointファイルは事前にOCWを介し開示するので予習/復習に用いること。
成績評価は演習,レポート,試験の結果で総合的に判定する.
履修の条件を設けない。