本講義は、都市域における上下水道の概要、設計、水処理技術、そして水環境保全に必要となる水環境科学の基礎とその管理手法を扱う。各講義では学生自らが理解を深めることを促すため、演習問題と小テストを組み合わせると同時に、水利用や水環境管理の現状を理解するためのレポートの作成を求める。以上により、水利用や水環境管理に必要な基礎知識を提供する。
本講義のねらいは、主に都市域を対象として持続可能な水利用を実現するための上下水道技術の基礎および水環境保全のために必要となる生態学の基礎や水環境管理手法を身につけることである。地球上で循環する水資源や水域生態系との関連の中で持続可能な水利用を実現するための基盤も身につけることができる。
本講義を履修することによって以下の能力を修得する。
1)水質化学の基礎を水質管理に活用することができる
2)上水道および下水道に関連する環境衛生工学の基礎を説明することができる
3)水域生態学の基礎および水環境の評価・管理手法を説明することができる
水質化学の基礎、上水道、下水道、水環境管理、水域生態系
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
基本的に各テーマを1回の講義で進めます。毎回の授業は、演習問題を含む講義が80分程度、その後の小テストに20分程度の時間配分で進めます。また、中間試験および期末試験の他にレポート課題を2回程度出題します。
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | ガイダンス+上水道の歴史・計画(吉村) | 上水道の重要な歴史を理解し、上水道システムの概要および計画手順の概略 |
第2回 | 分析化学の基礎(吉村) | 一般的な水質分析に必要となる分析化学の基礎 |
第3回 | 水質化学1(吉村) - pH,溶解度,アルカリ度、酸塩基反応など | 上水道設計に必要となる水質化学の基礎(pH,溶解度,アルカリ度など) |
第4回 | 浄水処理技術1(吉村) | 一般的な浄水処理技術およびその組み合わせ、水道水質基準との対応 |
第5回 | 浄水処理技術2(吉村) | 最新の浄水処理技術 |
第6回 | 水域生態系と水環境管理 (吉村) | 河川・湖沼・ダム湖の生態系およびその評価・管理手法 |
第7回 | 中間試験とその解説(吉村) | 上水道システムおよびそれに関連する水質化学の基礎に関する理解度確認 |
第8回 | 下⽔道の歴史・計画(藤井) | 下水道の重要な歴史、下水道システムの概要および計画手順の概略 |
第9回 | 水質化学2(藤井) - 有機物、酸化還元電位、微生物など | 下水道設計に必要となる水質化学の基礎(有機物,酸化還元電位、微生物など) |
第10回 | 下水処理技術(藤井) | 一般的な下水処理技術(主に活性汚泥法) |
第11回 | 微生物と下水処理(藤井) | 微生物学の基礎と生物処理 |
第12回 | 高度処理と水の再利用(藤井) | 高度処理の手法と水の再利用 |
第13回 | 下水道のこれから(藤井) | 下水処理と環境の関わり、今後の課題など |
第14回 | 最終試験(藤井) | 下水道システムおよびそれに関連する水質化学の基礎に関する理解度確認 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
「(大学土木)水環境工学」松尾友矩編、田中修三ほか著、オーム社
「明解 水質環境学」 浦瀬 太郎 著、プレアデス出版
「水圏の環境」有田正光編著、東京電機大学出版会,
「衛生工学演習」海老江邦雄・芦立徳厚著、森北出版
「Aquatic Environmental Chemistry」A. G. Howard
授業後の小テスト(15%)、レポート(25%)、中間試験(30%)、期末試験(30%)
ただし、中間・期末試験を除く講義を3分の2以上(8回以上)出席することが必須
事前に身につけておくべき知識や技術はない。