【概要】本講義では,原子核工学の分野として核分裂炉システム及び核融合炉開発を取り上げます。初めに,原子核の基礎的性質,核崩壊と放射線,核反応の物理について解説します。続いて,原子炉(核分裂炉)の臨界,動特性,燃焼特性を解説するとともに原子炉熱流動,原子炉システムの安全性及び核燃料サイクルについて解説します。そして,プラズマの基礎,核融合反応と核融合プラズマを解説するとともに核融合開発の歴史と現状について解説します。
【ねらい】本講義では,原子核工学の基礎となる物理,核分裂炉の仕組みと安全性,原子炉熱流動,及び核燃料サイクルの概要,並びに,核融合プラズマの基礎及び核融合開発の現状を理解し身につけます。
本講義を履修することによって,原子核工学の幅広い基礎知識を習得し,原子核工学の更に高度な専門科目の理解に応用することを目標とします。
エネルギー自給率、エネルギーセキュリティ、核力、核構造、原子核結合エネルギー、臨界、原子炉、安全、革新的原子力システム、核燃料、ウラン濃縮、核燃料再処理・処分、プラズマ、磁場閉じ込め、核融合炉
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
多くの専門分野から構成される原子力の概略について、各分野の専門家である6名の教員がオムニバス形式で講義する。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 授業全体説明、日本のエネルギー事情 | 日本のエネルギー自給率等を踏まえた日本のエネルギーセキュリティの現状を説明できる。 |
第2回 | 核構造、結合エネルギー | 原子核工学の基礎知識である核力、核構造、原子核結合エネルギー等の基礎を説明できる。 |
第3回 | 核崩壊、放射線 | 不安定原子核の崩壊による各種放射線の発生メカニズム,及びこれらの放射線と物質の相互作用を説明できる。 |
第4回 | 核反応、核分裂連鎖反応 | 原子核同士の反応過程と中性子によるウラン等の核分裂連鎖反応の仕組みを説明できる。 |
第5回 | 原子炉の臨界 | 原子炉の臨界の原理及びその達成条件について説明できる。 |
第6回 | 原子炉の動特性 | 原子炉の反応度に変化が生じた場合の出力変化について説明できる。 |
第7回 | 原子炉の燃焼特性 | 原子炉の運転による燃料組成の変化の効果について説明できる。 |
第8回 | 原子炉システムと安全・革新的原子力システム | 原子炉システムの概要と安全確保の考え方、次世代の原子炉である革新的原子力システムについて説明できる。 |
第9回 | 熱流動基礎 | 原子炉における熱流動現象の基礎を説明できる。 |
第10回 | 原子炉の熱流動 | 原子炉における発熱、沸騰伝熱、限界熱流束等の原子炉特有の熱流動を説明でき、加圧水型原子炉と沸騰水型原子炉の熱流動の違いを説明できる。 |
第11回 | 核燃料サイクル | 核燃料製造・ウラン濃縮、原子炉内部での核燃料の燃焼・核変換過程、使用済み燃料の再処理・処分の物理学・化学を概括的に説明できる。 |
第12回 | プラズマ基礎 | イオン源や核融合に不可欠なプラズマ理工学の基礎を理解し、プラズマの学際性と様々な応用例を説明できる。 |
第13回 | 核融合反応と磁場閉じ込め | 恒星のエネルギー源である核融合反応と、地上で核融合反応を起こすための磁場閉じ込めについて説明できる。 |
第14回 | 核融合プラズマの加熱と粒子制御 | 核融合反応を十分に発生させるためのプラズマ加熱法と、プラズマの温度と密度等の計測法について説明できる。 |
第15回 | 核融合開発の歴史と現状 | 核融合炉を実現するための研究開発の歴史と現状について説明できる。 |
指定なし。各教員が作成した講義資料を使用する。
電気学会大学講座「基礎原子力工学」電気学会通信教育会著作、電気学会 1986
講義資料は各教員が配布する。
各講義で行う小テスト(60%)と期末試験(40%)
なし。
tobara[at]lane.iir.titech.ac.jp (小原教授)
メールによる予約必要