異なる背景をもつ人びとが出会うとき、どんなことが起きるでしょうか。差異があることで、どんな衝突が生じ、それに対して彼ら彼女らはどのように対処するのでしょう。この授業では、基礎的な社会学理論を学び、日常的な文脈における多文化主義を考えます。主に、人種、エスニシティ、言語、ジェンダー、セクシュアリティに焦点を当て、仕事や教育、家庭といった具体的な場を考察することで、異なる地域における多文化コミュニティの理解を深めます。たとえば、現代日本社会がどのように民族的・言語的に多様化しているか、シンガポールやロンドンといった多民族都市で、人種やエスニシティはどのような意味があるのか、そして、東京や香港では、ジェンダー、セクシュアリティ、階級がプライベートな人間関係にどのような影響を及ぼすのか、などを議論します。これらの社会的政治的力学について読み、議論し、調査することで、多角的な視点を培います。
自身の日常的な経験をより深く理解するための社会学的理論の知識を習得し,これに基づいて多文化コミュニティの問題について調べ、自身で批判的に分析することができるようになります。
多文化主義、多言語主義、人種、エスニシティ、ジェンダー、セクシュアリティ、言語、社会的相互行為、差別、格差、スティグマ、周縁化、アイデンティティの政治
専門力 | ✔ 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
第一回の授業では概説的講義を行い、第二回目以降は文献講読と議論を中心に進めます。各授業の前に指定文献を読み、コメントできるようにしておくことが求められます。毎回、発表者が文献を要約し、議論をリードします。同時に、各自の興味関心によるテーマを設定し、具体的な多文化コミュニティの問題について、授業内容と関連づけながら、調べます。成果は最終回に発表します。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | イントロダクション:多文化コミュニティの諸問題 | Reading assignment: Selvaraj Velayutham, “Everyday Racism in Singapore.” |
第2回 | 多文化社会における人種とエスニシティ | Reading assignment: Tessa Carroll, “Multilingual or Easy Japanese?: Promoting Citizenship via Local Government Web Sites.” |
第3回 | 多文化社会における言語 | Reading assignment: Rhacel Salazar Parrenas, “Cultures of Flirtation: Sex and the Moral Boundaries of Filipina Migrant Hostesses in Tokyo” |
第4回 | 多文化社会におえるジェンダーとセクシュアリティ | Reading assignment: Robert Moorehead, “Remedial Language Education and Citizenship: Examining the JSL Classroom as an Ethnic Project.” |
第5回 | 多文化社会の教育 | Reading assignment: Sophie Watson, “Brief Encounters of an Unpredictable Kind: Everyday Multiculturalism in Two London Street Markets.” |
第6回 | 多文化社会のストリートマーケット | Reading assignment: Nicole Constable, “Filipina Workers in Hong Kong Homes: Household Rules and Relations” |
第7回 | 多文化社会の家庭 | TBA |
第8回 | 最終課題発表 | none |
文献のコピーを配布します。
Amanda Wise and Selvaraj Velayutham eds., 2009, Everyday Multiculturalism, Palgrave. Nanette Gottlieb ed., 2012, Language and Citizenship in Japan, Routledge.
出席・授業への貢献: 40%
発表: 20%
最終レポート: 40%
特になし。