本講義では,まず,耐震設計の動機となる地震被害を知り,それらの被害メカニズムを理解する。被害メカニズムを把握したうえで,耐震設計の基本的要素である設計入力地震動,耐震計算モデル,照査方法に関して,それらの構成要素を理解し,実務設計における要点を把握する。
次段階として,大きな設計体系である仕様設計法と性能設計法の違いと,それぞれの特長を把握し,性能設計法の方がより合理的であることを理解する。
最終段階としては,地震時に生じる構造物およびそれを支持する地盤の非線形性ならびに破壊特性を理解し,性能設計にはそれらの特性を表現できる高度な解析が必要であること,および解析手法の具体例を理解し,最適な解析手法を選択できる能力を有することを目標とする。
本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1.地震被害のメカニズムを説明できる。
2.実務に適用される二段階の設計入力地震動を選択できる。
3.地盤およびコンクリートの非線形性を考慮できる解析手法を選択し,それぞれの非線形パラメータを設定できる。
4.耐震計算によって得られた構造物断面力や残留変形によって,安全性を評価できる。
地震被害,設計入力地震動,性能設計,非線形地震応答解析,高耐震化技術
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
毎回の講義では,具体的な対処例を示し,設計基準には書かれていない部分を特に説明する。将来,エンジニアとして判断すべき項目を示すことで,安全かつ合理的な耐震設計ができることを常に意識させる。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 耐震設計の基本,地震被害,設計入力地震動,仕様設計と性能設計 | |
第2回 | 耐震性能に与える要因(共振現象、減衰、構造物物性値、地盤物性値) 鉄筋コンクリートの破壊と地震時保有水平耐力法 | |
第3回 | 耐震計算法(震度法、応答変位法、動的解析(時刻歴応答解析) | |
第4回 | 時刻歴応答解析の進め方(非線形特性値の設定) | |
第5回 | 高耐震化技術(高剛性化、免震工法、制振技術) | |
第6回 | 地盤の耐震性能:液状化と側方流動 | |
第7回 | 既設構造物の耐震補強(新設との違い、設計思想、対策工の選定) | |
第8回 | 実際の耐震設計例 | 演習:耐震設計における用語の解説と具体的な設定方法の例示 |
全85ページの講義ノートを配布する。
土木学会:実務に役立つ耐震設計入門,ISBN978-4-8106-0731-4
演習(30%),レポート(70%)とし,60点以上を合格とする。
特になし
松田 隆 matsuda.takasi[at]obayashi.co.jp 090-2562-1331
授業後の教室にて
特になし