地下水や土壌は環境法でも指定されている重要な環境項目であるが、自然由来あるいは人工汚染物質により汚染され、これによる種々の環境問題が自然・人間環境の劣化を招いてきている。したがって、この種の環境汚染を適切に評価し、必要に応じて浄化、改善等の処置を図る必要がある。
本講義では、地下水・土壌汚染に関連する種々の基本知識、原理、理論、浄化方法、廃棄物処分方法について解説する。具体的には、1)水理地質学、2) 地盤汚染に関する物理学、3)汚染物質の物理、化学特性、4)汚染地盤の浄化法、5)廃棄物処分と封じ込め、6)環境法令とケーススタディー。
本講義を通して、地下水・土壌汚染に関連する、基本知識、物理・化学原理、理論、環境法、環境基準、地盤環境保全対策について理解し、更には地盤環境汚染に関するケーススタディーを参考に総合的な地盤環境保全対策、施策の利点や限界を評価する視点を身につける。
地下水、土壌、汚染、修復、保全、環境法、廃棄物
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
講義と合わせて、異なる国における環境問題に関するグループ発表、討論を行い、それらを通して環境問題の理解を深め、その解決に必要な関連分野についても学ぶ。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 序論 | 地盤環境問題に関するケースヒストリー、基本事項について学ぶ |
第2回 | 水理地質学(I)-地層分類と帯水層の基本特性 | 水理地質学的な地層分類、帯水層の基本物理量について学ぶ |
第3回 | 水理地質学(II)-地下水流の基本方程式と地質化学 | 地下水流れの基礎方程式、地質化学について学ぶ |
第4回 | 地盤汚染 (I) -メカニズム | 多孔質体中の汚染物質の移動のメカニズムについて学ぶ |
第5回 | 地盤汚染 (II) -物理法則と支配要因 | 多孔質体中の汚染物質の移動に関する移流・拡散方程式とそれに含まれる種々のパラメータについて学ぶ |
第6回 | 種々の汚染物質、汚染源と環境法令 | 種々の汚染物質について、その性質と典型的な汚染場所、関連環境法について学ぶ |
第7回 | 揮発性有機化合物(VOC's) と NAPLs | 揮発性有機化合物(VOCs)とNAPLsについて、それらの物理、化学的性質、地盤中の分配挙動、移動特性について学ぶ |
第8回 | 汚染物質の分配と吸着 | 汚染物質とそれの液相、固相、気相間の分配挙動、特に固相への吸着について学ぶ |
第9回 | 汚染現場の浄化技術 | 汚染現場の各種浄化技術にその原理と適用性について、ケーススタディーを含めて学ぶ |
第10回 | 廃棄物管理と処分場の基礎知識 | 廃棄物管理の流れ、廃棄物処分場の構成要素について学ぶ |
第11回 | 廃棄物処分場の計画、ライナーと覆土 | 廃棄物処分場の建設計画、遮水層と覆土について学ぶ |
第12回 | 遮水層内の汚染物質の移流・拡散現象、モニタリング | 遮水層内の汚染物質の非定常拡散現象とそのモニタリングについて学ぶ |
第13回 | 放射性廃棄物、災害廃棄物の処理・処分 | 放射性廃棄物、災害廃棄物の特性、その処理、処分方法について学ぶ |
第14回 | グループワーク発表 | 地盤環境問題のケーススタディー |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
講義資料はOCWiの掲載するとともに講義時に配布する。
Daniel, D. E., (1993), “Geotechnical Practice for Waste Disposal”, Chapman & Hall, London.
Fetter, C. W.(2008) “Contaminant Hydrogeology 2nd ed”, Waveland Press Inc, Long Grove, IL, USA.
Bear, J. and Verruijt, A. (1990) “Modeling Groundwater Flow and Pollution”, Reidel P.C., Dordrecht, The Netherlands.
レポート: 50%, グループワーク:50%
なし