本講義では,大型構造物等に多く利用される鋼材を材料とした構造物(鋼構造物)の安全な管理のため,鋼構造物で発生し得る破壊現象を事例等を通じて要因等理解するとともに,その発生予防や発生時の対策のために必要となる破壊力学的検知からのアプローチについて習得する.また,グループディスカッションやプレゼンテーションを通じて,実際の破壊事例を取り扱った事例研究を行い,原因、対策方法やそれらの有効性について理解を深める.
本講義では、社会を支える構造物の安全な管理のために必要な専門的知識を習得するとともに、課題に対するグループディスカッションやプレゼンテーションを通して、コミュニケーション力および問題解決力が向上することをねらいとしている。
本講義を履修することによって,以下の能力を習得する。
1)鋼材を利用した橋梁等の鋼構造物における脆性破壊,疲労破壊等の破壊形式を説明できる。
2)鋼構造物における破壊現象の原因とそれに対する対策について説明できる。
3)破壊制御のための破壊力学的見地からのアプローチについて説明できる。
4)鋼構造物の疲労設計方法について説明できる。
鋼構造物、破壊、原因、対策、制御、疲労、破壊力学
✔ 専門力 | 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
専門的な知識を説明する講義と、理解を深めるためのグループディスカッションおよびプレゼンテーションを行う。
講義に関連して、宿題あるいは講義内課題を与える。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 鋼構造における破壊事例と問題点 | 鋼構造物における破壊事例について説明できる。 |
第2回 | き裂を有する部材に対する応力解析 | き裂を有する部材の応力解析方法の特徴について説明できる。 |
第3回 | 破壊力学的アプローチ | 鋼部材の破壊制御に対する破壊力学的なアプローチについて概要を説明できる。 |
第4回 | 鋼部材の脆性破壊と破壊靱性 | 鋼部材における脆性破壊の特徴および破壊靱性について説明できる。 |
第5回 | 破壊現象の支配的因子とその影響 | 鋼部材における破壊現象の要因について説明できる。 |
第6回 | 破壊靱性評価 | 鋼材の破壊靱性の評価法について説明できる。 |
第7回 | 破壊事例の要因に関する調査 | 鋼構造物におけるこれまでの破壊事例から一例選び、その要因について調査する。 |
第8回 | 橋梁における疲労現象 | 橋梁において発生する疲労現象の特徴について説明できる。 |
第9回 | 疲労破壊事例の要因に関するグループ討議 | 鋼構造物における疲労破壊事例を一例取り上げその要因についてグループ討議を行う。 |
第10回 | 疲労現象に対する対策方法 | 鋼構造物における疲労破壊に対する対策方法について説明できる。 |
第11回 | 疲労破壊事例に対する対策に関するグループ討議 | 鋼構造物における疲労破壊事例を一例取り上げその対策についてグループ討議を行う。 |
第12回 | 疲労設計法 | 鋼構造物の疲労設計法の種類について説明できる。公称応力ベースの疲労設計法を説明できる。 |
第13回 | 局部応力ベースの疲労設計法 | 局部応力ベースの疲労設計方法について説明できる |
第14回 | 交通荷重実態把握と維持管理事例 | 橋梁における交通荷重実態の把握方法およびそれに基づく維持管理方法について説明できる。 |
第15回 | 地震時破壊現象 | 鋼構造物の地震時の破壊形式と特徴を説明できる。 |
特になし。必要に応じて資料を配付。
Fracture and Fatigue Control in Structures (J. Barsom and S.Rolfe, Butterworth-Heinemann) ISBN-10: 075067315X, ISBN-13: 978-0750673150
評価は、宿題・講義内課題(50%)および最終レポート(50%)により行う。
特になし。