本講義では,コンクリート橋など,土木構造物の中のコンクリート構造物を対象にして,その構成部材の曲げ挙動の基礎を習得する。また,脆性破壊防止の観点から,せん断破壊の基礎についても理解する。
具体的には,(1)鉄筋コンクリート部材の曲げひび割れ耐力,(2)鉄筋コンクリート部材の曲げならびに曲げ・軸力作用時の耐力,(3)鉄筋コンクリート部材の曲げひび割れ幅,(4)鉄筋コンクリート部材のせん断耐力,について,それぞれ算定できることを目標とする。
これらの内容は,コンクリート構造における基礎的な内容であるが,実務的にも必須の内容であって,各自が完全に理解して習得することを期待している。
本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1.鉄筋コンクリート部材の曲げひび割れ耐力を算定できる。
2.鉄筋コンクリート部材の曲げならびに曲げ・軸力作用時の耐力を算定できる。
3.鉄筋コンクリート部材の曲げひび割れ幅の計算手法を理解し,曲げひび割れ幅を算定できる。
4.鉄筋コンクリート部材のせん断耐力を算定できる。
鉄筋コンクリート,曲げひび割れ,曲げ破壊,曲げと軸力,せん断破壊
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
講義内容が習得できたことを確認するため,随時演習を行う。「曲げ」の講義が終了した段階で,その範囲で中間試験を行い,講義内容の習得の程度を確認する。期末試験は全範囲からの出題とする。毎回の講義では,随時,受講者に対して質問し,対話形式で講義を進める。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | コンクリート構造を支配する力学の基本3条件、コンクリート構造の応用としての世界のPC橋の紹介. | |
第2回 | 曲げを受ける鉄筋コンクリート部材の曲げひび割れ耐力と寸法効果. | |
第3回 | 曲げを受ける鉄筋コンクリート部材の非線形挙動. | |
第4回 | 曲げを受ける鉄筋コンクリート部材の降伏と破壊. | |
第5回 | 曲げ破壊荷重の算定. | 演習1.曲げを受ける鉄筋コンクリート部材の曲げひび割れと破壊に関する演習. |
第6回 | 曲げと軸力を受ける鉄筋コンクリート部材の挙動. | 演習1の提出. |
第7回 | 曲げと軸力を受ける鉄筋コンクリート部材の破壊と相互作用図. | 演習1の返却と解説. |
第8回 | 曲げを受ける鉄筋コンクリート部材に関する基本的知識の確認. | 中間テスト. |
第9回 | 鉄筋コンクリート部材の曲げひび割れ. | 中間テスト返却. 演習2.曲げと軸力を受ける鉄筋コンクリート部材の破壊に関する演習. |
第10回 | 鉄筋コンクリート部材の曲げひび割れ幅と耐久性. | 演習2の提出. |
第11回 | せん断力を受ける鉄筋コンクリートはりの挙動. | 演習2の返却と解説.演習3. 鉄筋コンクリート部材の曲げひび割れ幅の算定に関する演習. |
第12回 | トラス理論と問題点. | 演習3の提出. |
第13回 | 修正トラス理論 | 演習3の返却と解説. |
第14回 | 修正トラス理論と問題点 | 演習4. せん断補強筋の設計に関する演習と解説. |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
講義で使用するPPTのコピーを配布する。
二羽淳一郎:『コンクリート構造の基礎』(改訂第2版),数理工学社,ISBN: 978-4-86481-052-4.
演習(10%),出席(10%), 中間テスト(40%),および期末テスト(40%)の総合評価とする。60点以上を合格とする。
構造力学第一とコンクリート工学を習得しておくことが望ましい。
二羽淳一郎 jniwa[at]cv.titech.ac.jp, 03-5734-2584
随時受け付けるが,事前にメールなどで予約するのが望ましい.
8回目に中間試験,15回目に期末試験を実施する。