土木施設の整備と運用を通じてより善い社会をつくるためには,土木事業の影響面の分析(調査,予測・評価等),手続き面の分析(合意形成),運用面の分析(マネジメント)に関する諸検討が必要不可欠であり,それらを考える学問体系が土木計画学である.本講義では,土木計画学のカバーする領域の中でも,特に,数理的計画理論と社会的計画理論の基礎について講述する.
土木事業・土木施設の計画のための計画プロセス・調査・予測・評価等の数理的計画論,ならびに,土木計画が生身の人間や社会を対象とすることを念頭に置いた社会的計画論について,それらの基礎を理解する.
土木計画,最適化,システム分析,社会理論
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
基礎理論について講述しつつ,途中,クイズを併せて実施することにより,内容に対する理解を深める.また,最後に期末試験を実施する.
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 土木と土木工学,土木計画と土木計画学 | ・土木における「プラン」と「プランニング」 ・技術的プランニング と 包括的プランニング |
第2回 | 数理最適化の基礎理論(1):制約なし最適化 | ・最適化の考え方 ・制約条件のない1変数最小化問題 ・制約条件のない多変数最小化問題 |
第3回 | 数理最適化の基礎理論(2):線形計画法 | ・線形計画問題の例 ・図形解法 ・ガウス・ジョルダンの消去法 |
第4回 | 数理最適化の基礎理論(3):非線形計画法の基礎 | ・ラグランジュの未定乗数法 ・カルーシュクーンタッカー条件 |
第5回 | 数理最適化の基礎理論(4):非線形計画法の応用 | ・最大輸送問題 ・交通均衡問題 |
第6回 | 数理最適化の基礎理論(5):非線形計画法の計算アルゴリズム | ・勾配法 ・凸計画法 |
第7回 | プロジェクトの工程管理の数理 | ・PERT ・CPM |
第8回 | 将来予測の数理 | ・統計モデルの考え方 ・交通需要予測 |
第9回 | 費用便益分析の基礎 | ・費用便益分析の原理 ・プロジェクトライフと割引率 ・便益の計算方法 |
第10回 | 合意の数理(1):ゲーム理論の基礎 | ・土木計画における戦略的状況 ・ゲームの記述方法 ・代表的なゲーム ・最適応答とNash均衡 ・混合戦略 |
第11回 | 合意の数理(2):ゲーム理論の応用 | ・協力/交渉ゲーム ・外部性 ・囚人のジレンマ ・環境問題と経済問題 |
第12回 | 態度行動変容型計画論 | ・心理学と土木計画 ・態度理論 ・モビリティ・マネジメント |
第13回 | 社会的意思決定論,社会学的計画論 | ・社会有機体説 ・コミュニティ論 |
第14回 | 政治学的計画論 | ・行政権 ・パブリック・インボルブメント |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
藤井 聡(著):「改訂版 土木計画学: 公共選択の社会科学」,学芸出版社,2018. (講義中にプリントも配布する).
随時紹介する.
各講義中に実施する小課題(40%),中間課題(30%),最終課題(30%)
特に無し.
Email: fukuda[at mark]plan.cv.titech.ac.jp
特に指定の時間は設けていないので,事前にメールでアポを取って下さい.