最初に数学的基礎としてフーリエ変換と振動数領域について理解する。続いて,減衰がない場合の1自由度系の自由振動,強制振動を定式化してその解を求める。減衰がある場合についても同様に求め,1自由度系の周波数応答特性について理解する。さらに,多自由度系について行列を用いた解法を理解し,これらを使って制振構造や免震構造の理論的背景を理解する。最後に,はりの自由振動についてその解法を理解する。
結果として得られる式を公式として利用して計算ができることはもちろん必要であるが,それ以上に,その結果が得られるまでの理論的背景の理解が重要である。したがって,この講義では上記の内容について,どのようにその結果が導かれるか,その過程を正しく理解することを特に重視し,理論的枠組みとともに式の展開についても詳しく取り扱う。
地震国日本において重要な耐震設計の基礎となる地震動による構造物の動的応答現象の理解および耐震設計に必要な基礎的知識を修得させることを目的とする。具体的な到達目標は以下の通り。(1)1自由度系の応答が理解できる,(2)多自由度系の応答が理解できる,(3)制振構造・免震構造の仕組みが理解できる,(4)はりの応答が理解できる,(5)耐震設計法の基礎が理解できる。
動的応答,1自由度系,多自由度系,はり,耐震設計法
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
主として板書によって講義を進める。必要な図面等は適宜配布する。講義内容を理解するために講義時間中に演習問題を解くか,講義内容に関連した宿題をだす。宿題は翌週の講義の際に提出する。演習や宿題の内容はその際に解説を行う。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | フーリエ変換 | フーリエ変換の定義,計算法 |
第2回 | 1自由度系の応答(非減衰振動) | 非減衰1自由度系の運動方程式の誘導とその解法 |
第3回 | 1自由度系の応答(減衰振動) | 減衰1自由度系の運動方程式の誘導とその解法 |
第4回 | 応答スペクトル・多自由度系の応答(定式化) | 応答スペクトルの定義,トリパタイトの読み方,多自由度系の運動方程式の誘導 |
第5回 | 多自由度系の応答(解法) | 多自由度系の運動方程式の解法,モードの概念の理解 |
第6回 | 構造物の地震応答・免震・制振構造 | 構造物の地震応答特性,免震構造の理論,制振構造の理論 |
第7回 | はりの振動 | はりの自由振動の運動方程式の誘導とその解法,減衰の導入とその性質 |
第8回 | 耐震設計法・期末試験 | 耐震設計法の基本的考え方の理解 |
担当教員のオリジナル資料を使用する。
必要に応じて資料を配布
期末試験70%を基本とし、残り30%は講義の際に出される課題等の評価を含めて総合的に評価する。なお、試験にはA3裏表一枚分のノート(手書き)および電卓の持ち込みを可とする。
物理数学基礎・演習を履修し,フーリエ変換,微分方程式に関してじゅうぶんな理解をしていること。