本講義は基礎的な建築構造に関する知識を習得した大学院生を対象に、構造デザインおよび材料選定、部材・接合部設計の考え方、空間構造デザインを実施するための幾何非線形理論、最適化理論、免震・制振構造設計を実施するための振動理論、等価線形化理論、耐震設計、診断・改修を行うための塑性理論、保有耐力計算、海外の設計規準およびその背景を論述し、合わせて各理論を応用した具体的構造計画の演習を行う。
以上の作業を通じて実際に構造設計業務についた際の作業の一端を経験し、他のより専門的な構造・防災科目を学ぶための意義を理解する。構造設計を志望する学生は是非履修されたい。
学部課程を修了した履修者が、具体的な適用事例を通じ多様な構造デザインの設計実務に対応できるための以下の基礎知識を学ぶ。
1)構造デザインを行うための倫理および感性、建築家との協働能力
2)基礎的な幾何非線形理論、最適化理論およびこれらを応用した空間構造デザイン能力
3)基礎的な振動理論、等価線形化理論およびこれらを応用した免震・制振構造設計能力
4)基礎的な塑性理論、保有耐力計算の理解およびこれらを応用した耐震設計、耐震診断・改修設計能力
5)海外設計規準の考え方および部材設計能力
構造デザイン、空間構造デザイン、免震構造、制振構造、耐震構造、耐震診断・改修、海外設計規準、幾何非線形理論、最適化理論、振動理論、等価線形化理論,
塑性理論、保有耐力計算
✔ 専門力 | ✔ 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
講義を中心とし、併せて課題の発表および解説を行う。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 建築デザインと構造設計、構造設計史、構造計画と部材サイズ、素材と接合部 | 建築構造設計の考え方と倫理について学ぶ |
第2回 | シェル・トラス構造の設計、幾何非線形性と座屈 | ラチスシェルおよびトラス構造の設計を通じて幾何非線形性と座屈現象について理解する |
第3回 | テンション構造の設計理論とディティール | テンション構造の構成および設計を通じて幾何剛性の応用手法について学ぶ /課題1:テンション構造の設計について説明する |
第4回 | 課題1:テンション構造の設計についての発表・講評 | テンション構造の設計についての発表・講評を行う |
第5回 | 最適化理論の基礎と形態創成への応用例 | 最適化理論の基礎と形状決定への応用手法について理解する |
第6回 | 免震構造の原理と一質点系の振動 | 免震構造を題材に減衰付1質点系の振動論および応答評価手法について学ぶ |
第7回 | 免震構造の計画法とディティール | 免震構造の計画法とディティールについて学ぶ /課題2:免震構造の設計について説明する |
第8回 | 課題2:免震構造の設計についての発表・講評 | 免震構造の設計についての発表・講評を行う |
第9回 | 制振構造の原理と多質点系の振動 | 制振構造の計画法とディティールについて学ぶ |
第10回 | 制振構造の計画法とディティール | 制振構造の計画法とディティールについて学ぶ /課題3:制振構造の設計について説明する |
第11回 | 課題3:制振構造の設計についての発表・講評 | 制振構造の設計についての発表・講評を行う |
第12回 | 塑性理論と保有耐力計算 | 塑性理論を理解し保有耐力計算が行えるようにする /演習1:保有耐力計算 |
第13回 | 地震被害と耐震診断・補強 | 典型的な地震被害と耐震診断・補強手法について学ぶ |
第14回 | 海外構造設計規準概説 | 海外における構造システムとLRFDの考え方について理解する /演習2:海外規準に基づく部材設計 |
第15回 | 海外構造設計の実際 | 海外における構造デザインの具体的事例について学ぶ |
坪井善昭ほか、力学・素材・構造デザイン、建築技術
日本建築学会関東支部:免震・制振構造の設計‐学びやすい構造設計‐、
竹内徹編:都市構造物の損傷低減技術、朝倉書店
柴田明徳、最新耐震構造解析、森北出版
出席および提出課題評価を総合し評価を行う。
履修に先立ち、建築構造に関連する200~300番台科目を一通り履修すること。