建築は、その成立過程において風土、制度、技術、施主など様々な条件との関わりにおいて計画・設計がなされており、それが外面に表れることでその内容を伝える役割を果たしている。本講義では、計画段階において検討される内容とともにそれが設計を経て表現として成立した内容を検討することで、利用者の経験を考慮したより良い表現のための計画設計手法のあり方について講義するとともに、具体的事例分析と建築表現の提案検討を通して討議する。
本講義の課題は、人間環境としての空間の寛容性である。
本講義を通して学生は、建築を中心とする環境について、人間の短期的、長期的経験に配慮した計画・設計を行う能力を身につけることを目標とする。具体的には以下の能力を涵養する。
①建築の様々な段階における人間と環境の関わりを理解する能力
②建築を構成する物理的、社会的、文化的要因を多角的に分析する能力
③建築を含めた環境を、人間、社会、歴史、環境、技術などの様々な観点で計画・設計する能力
建築設計、構築環境、公共空間、人間中心設計
✔ 専門力 | 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
全15回を5つのテーマにより講義および分析・討議し建築や構築環境の設計に関する批評能力と課題解決能力を養い、根拠に基づいた設計(エビデンス・ベースド・デザイン)の実践を行う。
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | 建築設計と表現の概念 システムイメージとデザインモデル | グループ分けと調査対象地の選定 |
第2回 | ユーザビリティ1(ユーザーインターフェースと建築空間) | 課題「人間中心視点で環境分析」 |
第3回 | ユーザビリティ2(発表) | 発表と討議 |
第4回 | 空間の寛容性1(講義・グループワーク) | 課題「公共空間の寛容性を考える」 |
第5回 | 空間の寛容性2(発表) | 発表と討議 |
第6回 | 自然現象の顕在化・建築化 1(講義) | |
第7回 | 自然現象の顕在化・建築化 2(講義+資料調査) | 課題「自然現象の建築化」 |
第8回 | 自然現象の顕在化・建築化 3(発表) | 発表と討議 |
第9回 | 地域の風土と建築表現1(講義) | |
第10回 | 地域の風土と建築表現2(講義+資料調査) | 課題「ハウス・ミュージアムの紹介」 |
第11回 | 地域の風土と建築表現3(発表) | 発表と討議 |
第12回 | エビデンス・ベースド・デザイン1(講義) | |
第13回 | エビデンス・ベースド・デザイン2(グループワーク) | |
第14回 | エビデンス・ベースド・デザイン3(発表) | 発表と討議 |
授業内およびOCWにおいて資料を配布する
A.ラポポート,文化・建築・環境デザイン/W.ミッチェル,建築の形態言語/D.A.ノーマン,誰のためのデザイン/R.バンハム,環境としての建築/E.フォード,巨匠たちのディテール/K.フランプトン,現代建築史/J.ゲール,人間の都市/C.アレグザンダー,パターン・ランゲージ/J.ゲール人間の街
講義資料は授業およびOCWにより配布
授業中の発表(2回 40%)、グループ発表(1回 40%)、最終レポート(1回 20%)により評価する。
建築もしくは都市デザインに関する基礎的知識、意欲を有すること
nasu.s.aa[at]m.titech.ac.jp
事前にe-mailで予約すること