2018年度 公共システムデザイン特論   Principles of Public Systems Design

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開講元
都市・環境学コース
担当教員名
坂野 達郎 
授業形態
講義     
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
火3-4(W9-402,403)  
クラス
-
科目コード
UDE.D471
単位数
1
開講年度
2018年度
開講クォーター
4Q
シラバス更新日
2018年9月18日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
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講義の概要とねらい

本講義では、公共システムを設計するための基礎となる代表的な理論についてのオリジナル文献を読む。個人合理的に行動することが、社会的に望ましくない状況に陥ってしまう事がある。この時、個人の自発的意思を超えた公共的な介入が必要になる。こういった状況は、集合行為ジレンマとしてゲーム理論によって定式化されており、公共経済学、法と経済学、組織の経済学、ガバナンスの経済学、公共社会学、公共哲学など多くの人文、社会科学の学際的研究対象になってきている。
 本講義のねらいは、本講義では、それらの成果を踏まえ、集合行為ジレンマを克服する様々なアプローチとそれを支えている理論について理解するための統一的な枠組みを提供することにある。それによって、現存する公共システムを分析的に評価するための理論を習得することにある。

到達目標

本講義は、集合行為ジレンマとそれを克服するための制度について理解を深め、公共システムを設計する際の理論的枠組を習得することを目標とする。まず初めに、公共介入の問題を集合行為ジレンマによって定式化する。公共財、外部性、CPR、慈善といった1次ジレンマ問題が、なぜ個人合理的に行動するだけでは効率的に供給されないのか理解を深める。続いて、1次ジレンマ問題を解決するために必要となる制度を構築し維持すること自体も、2次ジレンマと呼ばれる集合行為ジレンマ問題となっていることを学ぶ。続いて、2次ジレンマ問題を解決するために現在模索されているアプローチ、特に自己組織的集合行為、権利経済学、組織ガバナンスの経済理論、その応用であるニューパブリックマネジメント、準市場についての理論を習得する。最終的には、こういった理論をもとに、公共システムを分析的に評価し、設計するための応用力習得を目標とする。

キーワード

自己組織的集合行為、権利経済学、組織ガバナンスの経済理論、ニューパブリックマネジメント、準市場

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

各回テーマの主要文献を、オリジナルテキストで読み、討論を行う

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 イントロダクション:集合行為ジレンマと公共ガバナンスの設計 公共ガバナンスの設計問題を集合行為問題として定式化し、公共制度及び組織の有効性について説明できるようになる
第2回 近代合理性と官僚制 近代社会の組織原理になった官僚制の特徴を近代合理性との関連で理解する
第3回 反テイラーリズムとニューパブリックマネジメント 反テイラーリズムの理論からニューパブリックマネジメントを理解し,官僚制に変わる組織設計に応用できるようになる
第4回 準市場の有効性と効率性 準市場の理論を理解し、公共問題の解決に応用できるようになる
第5回 非営利セクターの経済理論 非営利セクターの経済理論について理解し,公共問題の解決に応用できるようになる
第6回 倫理的経済行動の理論 慈善行動の経済理論を理解し、公共財供給における利他心の影響を説明できるようになる
第7回 ヘドニズム・デザインとユーダモニズムのデザイン原理 ヘドニズムとユーダモニズムの違いを理解し、制度設計に及ぼしてきた影響についていて説明できるようになる

教科書

毎回のテーマに合わせて、オリジナルテキストのコピーを配布する

参考書、講義資料等

Ostrom, E., 2005, Understandig Institutional Diversity, Princeton University

成績評価の基準及び方法

毎回の課題 40% 期末レポート 60%

関連する科目

  • CVE.D312 : 公共システム論
  • UDE.D409 : 計画理論

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

特になし

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