本講義では,地震時に甚大な被害によって人的被害を生み出すことや社会の事業継続性を損なうことが危惧される非構造要素,特に天井に対する耐震設計のあり方について説明する。建築における非構造要素とは,外壁、天井や間仕切壁などの仕上材や家具などの什器および設備機器などが含まれる。それぞれの振動特性等により加速度が損傷の要因となるものや変位(層間変位)が損傷の要因となるものがあり、過去の地震における落下被害など事例を紹介するとともに,損傷を引き起こす要因に応じた対処方法について説明する。
非構造要素の地震時の被害は日本国内のみではなく地震が発生する国における共通の問題となっている。これは構造躯体がこれまでの研究によりその耐震性能が向上したのに対して非構造要素は十分な研究がこれまでなされてこなかったことによる。耐震設計の基本的な考え方は構造躯体と同様であるが、非構造要素は脆性的な挙動となることから加速度や変位に対して十分な安全性を確保する必要がある。講義では,数値解析や振動台を用いた実験の体験も予定しているので非構造要素の地震時の危険性や耐震化の重要性を実感してほしい。
本講義を履修することによって次の能力を習得する。
1)建築における非構造要素の被害発生要因を説明できる
2)非構造要素に発生する慣性力の算定することができる
3)非構造要素の力学的特性を説明できる
4)非構造要素の地震被害を軽減するための方法を考えることができる
非構造要素,耐震性能,天井・間仕切壁
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
毎回の講義の前半で,復習を兼ねて前回の演習問題の解答を解説します。講義の後半で,その日の教授内容に関する演習問題に取り組んでもらいます。各回の学習目標をよく読み,復習して下さい。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 非構造要素とは? | 建築における非構造要素の分類 |
第2回 | 過去の地震における非構造要素の被害形式 | 実被害事例とその形式 |
第3回 | 非構造要素に作用する地震荷重 | 地震時に非構造要素に生じる慣性力の基本的考え方 |
第4回 | 天井の静的・動的性状 | 天井の静的・動的荷重時の損傷挙動 |
第5回 | 天井の数値解析モデル | 天井の損傷を表現するためのモデル |
第6回 | 数値解析による被害の再現 | 天井の地震時落下被害の再現解析 |
第7回 | 動的実験による被害の再現 | 2次元振動台を用いた天井の地震時損傷再現実験 |
第8回 | 今後の課題 | 非構造要素耐震設計における今後の課題 |
特になし
特になし
非構造要素の耐震設計に関する理解度を評価
演習問題100%
建築・土木における構造設計の基本的な考え方を理解していること