2017年度 建築構造テンソル解析   Tensor Analysis for Building Structure

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開講元
都市・環境学コース
担当教員名
元結 正次郎 
授業形態
講義     
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
火5-6(G324)  
クラス
-
科目コード
UDE.S406
単位数
1
開講年度
2017年度
開講クォーター
4Q
シラバス更新日
2017年3月17日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
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講義の概要とねらい

本講義では,連続体力学における重要な概念であるテンソルおよびテンソル解析について説明する。デカルト座標系と比較的良く用いられる極座標系を例に挙げ,テンソル解析という概念が有益であるかを説明する。テンソル解析で最も重要な事項である基底ベクトル,これから直接的に計算される計量テンソル,さらにひずみテンソルの定義を示した後,極座標系を例とした具体的な表現を定義から導出する。また,建築構造の崩壊挙動までを対象とするためにはひずみや応力の考え方が複数存在することを示す。弾性構成則や弾塑性問題をテンソル表記にて提示する。最後に,数値解析におけるひずみや応力などの実際の取り扱い方法について説明する。
都市における大規模集客施設などにはアーチ構造やドーム構造など曲面から成る連続体がよく用いられる。このような形態の構造物に対する平衡方程式などを考える場合には,基準座標系としてデカルト座標系が必ずしも適当な座標系とは限らない。このために過去においては,問題に応じて適切な座標系を設定し基本式などの誘導を行っていた。テンソル解析では座標系に依存しない記述を基本としているために,一般的な座標系に対する記述を行う場合にはテンソル解析という概念が極めて有益となることを実感してほしい。逆に,テンソル解析における複雑さを理解することはデカルト座標系自体の有益性を再認識することにも繋がる。これまで当然のように行っていた式展開が実はデカルト座標系の性質の恩恵の上に成り立っていることも実感してほしい。

到達目標

本講義を履修することによって次の能力を習得する。
1)物理量としてのテンソルとは何か,スカラー・ベクトルとの違いを説明できる
2)何故テンソル解析が用いられるか,テンソル解析の有益性を説明できる
3)基底ベクトルや計量テンソルさらにはひずみテンソルを求めることができる
4)多軸応力場に対する塑性論の概念を説明できる
5)アーチやドーム構造などで考慮すべき幾何学的非線形問題について説明することができる

キーワード

テンソル,テンソル解析,基底ベクトル,計量テンソル,デカルト座標系,曲線座標系,幾何学的非線形性,シェル構造

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

毎回の講義の前半で,復習を兼ねて前回の演習問題の解答を解説します。講義の後半で,その日の教授内容に関する演習問題に取り組んでもらいます。各回の学習目標をよく読み,課題を復習して下さい。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 テンソルとテンソル解析 テンソルの概要とテンソル解析の有益性
第2回 基底ベクトル・計量テンソル 基底ベクトルおよび計量テンソルの定義,非デカルト座標系における具体的な導出
第3回 ひずみテンソル Greenのひずみテンソルの定義と工学ひずみとの差異
第4回 応力テンソル 各種応力テンソルの定義とひずみテンソルの対応
第5回 弾性構成テンソル 3次元弾性構成則および平面応力場や1軸応力状態における表現
第6回 弾塑性問題への拡張 多軸応力場における弾塑性問題の基本概念
第7回 数値解析における取り扱い テンソル解析とコーディング
第8回 これまでの講義のまとめ アーチ構造を実例とした非線形解析

教科書

特になし

参考書、講義資料等

講義資料配布

成績評価の基準及び方法

テンソル解析および具体的事例に対する応用についての理解度を評価
講義に関して提示する演習2回100%

関連する科目

  • ARC.S501 : シェル構造特論
  • ARC.S201 : 材料力学概論A
  • ARC.S202 : 材料力学概論B
  • ARC.S203 : 建築構造力学第一
  • ARC.S305 : 建築構造力学第二
  • ARC.S303 : 建築構造設計第三
  • CVE.A202 : 構造力学第一
  • CVE.A301 : 構造力学第二

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

建築や土木における構造力学・材料力学に関する知識を有すること

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