本講義では、自然界にみられる様々な乱流現象を建築・都市分野での環境・防災という視点から論じ、その数理的な解釈およびモデルの表現方法を講述する。特に浮力などの外力が作用する複合乱流の物理機構ならびにそれに基づく大気乱流境界層の特性を明らかにする。また実際の乱流現象を数値解析する場合に必要となる乱流輸送の数学的記述とその物理的意味を示し、環境問題(都市の熱環境・大気汚染)・防災問題(強風突風推定・社会での風災害)を解決するためのシミュレーション手法を解説する。
都市環境にみられる実際の流れの現象を、流体力学的に乱流として捉え、その物理機構を理解する。続いて、温度の影響を敏感に受ける弱風、あるいは、ピークも含めて変動性状を詳細に捉えることが求められる強風をそれぞれ環境・減災から把握し、数理的なモデルを導入して、乱流の予測手法を習得する。さらには、実際の風に関連する都市の熱環境・大気汚染などの環境問題、あるいは、強風突風による構造物崩壊・都市社会での風災害などの防災問題に関するシミュレーション実施例に基づき、問題解決のための方策を検証する。
都市環境、乱流現象、流体方程式、統計処理、大気境界層、輸送問題、数値解析、乱流モデリング、LES、環境・防災問題
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
ハンドアウト資料に基づき、講義。演習問題とレポートをそれぞれ一回課す。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 環境・防災問題における流れの数理 | 環境・防災問題に対する流れの数理の関わり方を理解する |
第2回 | 支配方程式の導出と統計処理 | 流体の支配方程式を導出し、それに統計処理を施すことで乱流解析のための方程式を示す |
第3回 | 複合乱流の物理機構および大気境界層の特性 | 熱的効果まで入れた場合の乱流構造を理解し、大気境界層の特性を把握する |
第4回 | 輸送問題の偏微分方程式と数値解析 | 輸送問題の方程式の数値解析手法を習得する |
第5回 | 渦粘性に基づく乱流モデリング | 乱流現象を解析するための渦粘性に基づくモデリング手法を理解する |
第6回 | 輸送方程式を用いた乱流モデリング | 乱流諸量の輸送方程式を補助とする乱流のモデリング手法を理解する |
第7回 | フィルタリングの導入とラージエディシミュレーション | 流体の支配方程式に対してフィルタリングを施し、LESの定式化を行う |
第8回 | 環境・防災問題解決への乱流モデルの応用 | 環境・防災問題に対して乱流モデルを用いて解析し、問題解決のための道筋を理解する |
特になし
資料を講義中に配布
乱流解析法における課題に解答し(演習50点分)、乱流のモデリング手法を習得していることを確認(レポート50点分)することで成績評価
特になし