「デザイン」は多様な意味をもつ概念です.その多様な意味について,集合,証明,形式言語、 モデル理論的意味論などの数理論理的概念,探索,生成文法による記号生成,自然言語処理などの知能情報的概念などの観点から,議論します.また,デザインを対象とする「科学」の役割や要件などについて講述します.さらに,一人称研究,次世代デザインなど、デザインに関わる先端的な方法論について学びます.
【到達目標】 本講義を履修することによって,デザインの学と術の基本概念,基礎理論,方法論を修得し,デザインに関する学術的な議論,構成的方法の駆動,及び,デザイン・マインドの鍛錬ができるようになることを到達目標とします.さらに,これらを発展させ,研究的デザインの実践,及び,実践的デザイン研究ができるようになることをねらっています.
【テーマ】 本講義では,デザインという行為を,図式の操作,数理的操作,論理的操作という観点から定式化し,デザインという行為や知的プロセスについての理解を深め,それらをデザイン研究及びデザインの実践に応用し,論理的思考と直観を融合したデザインができるようになることを目標とします.
デザイン, 理論, 方法論, 構成的方法, デザイン・マインド
✔ 専門力 | ✔ 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
毎週2回分連続する講義を行う.
講義を中心とするが,内容を自分ごととして学べるよう,日常生活と建築の関わりに関する討論,実践的課題,クイズなどを用いる.
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | デザインという概念 | |
第2回 | デザイン理論の役割と構成 | |
第3回 | デザインの定式化:問題解決モデル:問題発見と探索 | |
第4回 | デザインの定式化:一般設計論 | |
第5回 | デザインの定式化:デザインにおける実体と記号の関係 | |
第6回 | デザインの定式化:記号処理モデル,言語処理モデル | |
第7回 | デザインの定式化:デザイン思考の情報処理モデル | |
第8回 | デザインの定式化:機能-振舞-構造モデルと状況性 | |
第9回 | デザインの定式化:科学的探究としてのデザイン | |
第10回 | デザインという行為,行為の目的論的説明と因果論的説明 | |
第11回 | 構成的方法論:デザインの構成的方法論 | |
第12回 | 構成的方法論:サービス・デザイン,価値の共創 | 構成的プロセスとしてのデザインの分析 |
第13回 | 構成的方法論:知のデザイン,デザインの科学 | |
第14回 | デザインに関わる知性,デザイン・マインド | |
第15回 | 次世代デザイン |
日本建築学会編(藤井晴行ほか著):『建築のデザイン科学』,京都大学学術出版会ほか
諏訪正樹,藤井晴行:『知のデザイン』, 近代科学社
諏訪正樹,堀浩一編著(藤井晴行ほか著):『一人称研究のすすめ』, 近代科学社
デザインに関わる問題を取り上げ,定式化し,その解決方法を,デザイン科学の方法を用いて,考案するために必要な基礎知識と応用力の修得の達成度を課題研究レポートより評価する(50%).また,事例研究に関する議論における発言内容から,デザインの学と術に関する問題意識の高さ,問題解決の方法の考案における専門知識の深さと広さを評価する(50%)。
デザインの実践と研究に興味があること.