概要:人間と環境の関係を社会工学の専門分野から説き起こし、かつその全体性を把握する。人間は自然環境との相互関係を社会および空間を通して形成し、維持し、変化させてきた。現代の人間を取り巻く環境は極めて複雑なシステムを形成しており、したがってこれに対応するように学問分野も細分化されてきている。しかし、人間と環境の関係を冒頭に記したように全体論として把握するならば、様々な学的取り組みは総合的に検討される必要がある。
ねらい:建築学系における社会工学に関する最初の講義として、社会工学関係教員がそれぞれ取り組んでいる人間と環境を巡る研究を有機的に組み合わせ講義し、学生諸君に上記の思考方法を獲得させる。
(1) 制度と形に現れる人間と環境の関係を、事例を通して理解し、レポートに表現できる。
(2) 計画と理念に現れる人間と環境の関係を、事例を通して理解し、レポートに表現できる。
(3) 人々と都市に現れる人間と環境の関係を、事例を通して理解し、レポートに表現できる。
環境、計画、都市、制度、人間
✔ 専門力 | 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
毎回の進め方:建築学系都市計画分野に関係する教員及び非常勤講師がそれぞれ取り組んでいる人間と環境を巡る研究を有機的に組み合わせ講義し、2名の教員間および学生とディスカッションする。
15回を通した進め方:講義4回に1回程度、まとめの回を設け、4名の教員が到達目標(1)(2)(3)にあげたテーマについてパネル形式で講義する。
講義形式の特徴:オムニバス形式であるが、同時に複数の教員が学生を含めディスカッションする。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | オリエンテーション (土肥、津々見) | 講義内容、スケジュールを理解する。 |
第2回 | 環境と美のデザイン(山本、津々見) | 環境に現れる美の基準を理解し、説明できるようになる。 |
第3回 | 制度と美のデザイン (津々見、真野) | 制度がいかに美と関わるかを理解し、説明できるようになる。 |
第4回 | 国家高権と住民投票 (津々見、真野) | 国の決定権と住民の参画権を理解し、説明できるようになる。 |
第5回 | まとめ1 - 制度と形 (山本 杉田) | 制度と形に現れる人間と環境の関係を、事例を通して理解し、レポートに表現できる。 |
第6回 | 地方自治と自律 (山本 杉田) | 団体自治と住民自治を理解し、説明できるようになる。 |
第7回 | 地域振興と自然環境 (土肥、真野) | 開発と環境保全のバランスを理解し、説明できるようになる。 |
第8回 | 計画の理念と事業 (土肥、真野) | コンセプトプランニングと実施計画を理解し、説明できるようになる。 |
第9回 | まとめ2 - 計画と理念 (坂村、杉田) | (2) 計画と理念に現れる人間と環境の関係を、事例を通して理解し、レポートに表現できる。 |
第10回 | 都市の将来像 (坂村、吉田) | 中長期的な都市の変貌とありうる方向性を理解し、説明できるようになる。 |
第11回 | コミュニティ・オーガナイズ (吉田、坂村) | コミュニティの社会的役割と再建の方法を理解し、説明できるようになる。 |
第12回 | ミクロとマクロの人間環境 (吉田、坂村) | 生活環境と広域計画の関連を理解し、説明できるようになる。 |
第13回 | まとめ3 - 人々と都市 (吉田、山本) | (3) 人々と都市に現れる人間と環境の関係を、事例を通して理解し、レポートに表現できる。 |
第14回 | 人間環境の計画と社会工学 (山本、杉田) | 社会工学が目指す人間環境の計画を理解し、説明できるようになる。 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
担当教員の最新の実践事例を講義するので、教科書は指定しない。講義で扱う資料などは、事前にOCW-iにアップする。
土肥真人、斎藤 潮著「環境と都市のデザイン―表層を超える試み・参加と景観の交点から」学芸出版社
真野洋介著「同潤会のアパートメントとその時代」鹿島出版
中井検裕著「都市計画の挑戦―新しい公共性を求めて」学芸出版社
各講義時間内における小レポートを積み上げて評価する
事前に身につけているべき知識や技術はない。