アストロバイオロジー(宇宙生物学)とは、NASAが1990年代に作った新しい学術領域であり、宇宙における生命の起源と進化、分布、そして未来という3つの大きなテーマを主軸とした幅広い研究を網羅している。本講義ではアストロバイオロジーに関する幅広い知識や専門用語を習得することを目的とし、天文学、惑星科学、地球化学、環境微生物学、分子生物学をはじめとする異なる分野における鍵トピックを網羅的に学習する。
本講義によってアストロバイオロジー(宇宙生物学)に関する幅広い知識や専門用語、最新の関連論文に関する知見を得ることができる。それにより各自が研究を進める上で新しい視座を提供することを目標とする。
化学進化、ハビタビリティ、生命の起源、初期地球環境、バイオマーカー、同位体、DNA/RNA/タンパク質/膜、プロトセル、系統樹、分子進化、代謝、火星、氷衛星、系外惑星
✔ 専門力 | ✔ 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
スライドを利用し英語で講義行う。必要に応じて講義前に関連資料等をアップロードする。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | アストロバイオロジー概論 | アストロバイオロジーの歴史的背景や鍵となる研究目標を理解する |
第2回 | 惑星形成と物質輸送 | 最新の惑星形成論及び、水をはじめとする生命関連材料がどの様に地球にもたらされたのかを学ぶ。 |
第3回 | 初期地球環境 | 初期の地球史における大気や海洋成分の変動や元素循環について学ぶ。 |
第4回 | 太陽系における海洋とハビタビリティ | 火星や氷衛星など、太陽系内における海洋を育む/育んでいた天体の理解と生命存在可能性について学ぶ |
第5回 | 生命の起源における化学進化 | 生体関連分子につながるような化学進化に関する研究報告例を体系的に学ぶ。 |
第6回 | 鉱物と有機物と触媒反応 | 鉱物が触媒する各種科学反応と、生物の酵素反応との関連性及び相違点を理解する |
第7回 | 区画化とプロトセル | 相分離現象あるいはリポソームなどの非生物的な区画化現象及びそこで起きる化学反応について学ぶ |
第8回 | 極限環境生物から見た生命の限界 | 極限環境に生育する生物の動態や分子機構を学び、生命圏の境界について洞察を深める |
第9回 | バイオマーカーと古生物学:過去の生命の痕跡を探る | 同位体分別機構及び分析法の理解とそれによる過去の生命の代謝等の動態の理解 |
第10回 | 生命の系統樹と進化 | 生命の進化の系譜を最新の系統樹から紐解く。真核生物の起源にも触れる |
第11回 | 生命システムの分子機構 | DNA->RNA->タンパク質という全ての生命が共通して有する分子機構を解説し、その普遍性に関して最新研究を通じて問う |
第12回 | 生命の代謝とエネルギー | 生命系を駆動するために必要なエネルギーの量、種類及び獲得方法を「代謝」をキーワードに説明する |
第13回 | 生命とは何か?合成生物学で造る生命 | 合成生物学的手法によって構築されつつある人工生命系に関連した知識を習得し、生命とは何か?という本質的な命題を考える。 |
第14回 | 系外惑星と生命兆候探査 | 宇宙望遠鏡等による観測で得られた太陽系外惑星の描像の理解、及び生命兆候の探索に向けた最先端科学に関する知見を学ぶ |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する 予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
特になし
アストロバイオロジー―宇宙に生命の起源を求めて(化学同人)、 地球・惑星・生命(日本地球惑星科学連合)、宇宙生命論(東京大学出版会)などを推奨。必要に応じてプリントの配布及びスライドによる解説を行う。
担当教員毎に授業内あるいはレポートによる課題を実施する。それらの評価を総合して最終評価とする。他学生のレポートの盗用やwebからの無断引用等が発覚した際には成績評価を0点とする。
特に設けない。
藤島皓介: fuji[at]elsi.jp 松浦 友亮: matsuura_tomoaki[at]elsi.jp Shawn McGlynn: mcglynn[at]elsi.jp
水曜日: 午前9時~10時半