生物はタンパク質、核酸をはじめとする生体分子を主要な構成成分として、これら生体分子が構造的・機能的に連携することにより、複雑な生体システムを実現している。生体分子の物理化学的性質は、生体システムを理解するうえで重要な要素である。本講義では、生体分子の物理化学的性質および解析法の基礎を教授する。更には、人工タンパク質や金属タンパク質など人工的に設計したタンパク質の物理化学的性質と医療、細胞、イメージングへの応用など、生物物理学に関連する研究の最先端について概説する。 タンパク質を中心として、生物物理学に関連する研究の基礎および最先端を学ぶとともに、その工学的・医学的応用について理解を深めることを本講義のねらいとする。
本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1) 人工タンパク質の設計と応用について説明できる。
2) 金属タンパク質の機能と応用について説明できる。
3) タンパク質の物理化学について理解し説明できる。
生物物理、人工タンパク質、バイオセンシング、細胞機能制御、モレキュラーツール、金属タンパク質、イメージング、熱力学、反応速度論
✔ 専門力 | ✔ 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
本講義は5名の教員によるオムニバス形式で行い、生物物理学に関連する研究について、基礎から応用まで、最近のトピックスとともに概説する。
日本人学生の理解を助けるため、一部日本語で解説を加える場合がある。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 生物物理学の研究領域 | 生物物理学の研究領域、および本講義の概要について説明できる。 |
第2回 | 人工タンパク質のセンシングシステムへの応用 | 遺伝子組換え技術によるバイオセンシングタンパク質の創出と、その利用に関して説明できる。 |
第3回 | 人工タンパク質を用いた細胞機能制御 | 遺伝子組換え技術による細胞機能制御タンパク質の創出と、その利用に関して説明できる。 |
第4回 | タンパク質を基盤としたモレキュラーツールの開発 | 遺伝子組換え技術による分子ツール創出プロセスを説明できる。 |
第5回 | タンパク質を基盤としたモレキュラーツールの応用 | 遺伝子組換え技術により創出された分子ツール利用法を説明できる。 |
第6回 | 細胞内酸素濃度イメージング | 細胞内の酸素濃度イメージングの原理について説明できる。 |
第7回 | 光を利用した物質生産 | 光を利用したエネルギー変換・物質生産について説明できる。 |
第8回 | 金属タンパク質の機能 | 金属タンパク質の構造機能相関に関して説明できる。 |
第9回 | 人工金属タンパク質の機能設計 | 人工金属蛋白質の機能の設計と機能化法について説明できる。 |
第10回 | 金属タンパク質モデル研究 | 金属タンパク質のモデル化の基礎的手法について説明できる。 |
第11回 | 金属化合物を用いた細胞、医療研究への応用 | 金属化合物の細胞、医療研究への応用について説明できる。 |
第12回 | タンパク質溶液の熱力学的取扱い | 混合のエントロピー変化からタンパク質溶液の挙動を説明できる。 |
第13回 | タンパク質溶液の拡散の熱力学 | 拡散方程式を導出できる。 |
第14回 | タンパク質分子間の反応速度論 | タンパク質分子間の相互作用のエネルギーと反応速度について説明できる。 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
特に定めない。
必要に応じて講義資料を配布する。
レポートを課すことにより、講義内容の理解度、および創造性を評価し、判定基準とする。
レポート課題は講義を担当する5名の教員がそれぞれ出題するので、履修者は5題のレポートを提出する。
特になし。