現在,誘電性を利用した多くのデバイスが実用化されており,誘電性は材料科学の重要な分野になっています。この誘電性を支配するのは分極です。本講義では,まず,分極の概念を古典的に理解するために誘電性の電磁気学から解説し,つづいて分極の発現機構を古典論と量子論を用いて説明します。物質の分極は周波数により変化します。この現象は誘電分散と呼ばれ,誘電体を材料科学的に理解するときや誘電体を応用するときには重要になります。本講義の前半は,分極が電界により発生する常誘電体に関する内容ですが,後半では,応力により分極が発生する圧電体,外部信号なしに自発的な分極を持つ焦電体,さらには,自発分極の方向が電界で変わる強誘電体について,その理論と応用を解説します。
本講義を履修することによって,物質の誘電性を記述する物理変数の意味を理解し,さらに,分極の発現機構を材料科学の観点で把握することで誘電体の応用を考えることができるようになることを到達目標とします。さらに,本講義を受講することで,電磁気学,熱力学,量子力学など既に学習した内容を,誘電性という観点で整理し理解度を深めることを目標とします。
分極、誘電性、強誘電性、圧電性
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
1) 講義の後半で,その日の教授内容に関する演習問題に取り組んでもらいます。
2) 毎回の授業で出席を取ります。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 電界、電束密度、ポテンシャルの概念 | 電界、電束密度、ポテンシャルの概念の理解 |
第2回 | 物質の誘電応答に関する熱力学的取扱い | 物質の誘電応答に関する熱力学的取扱いの理解 |
第3回 | マクスウェル方程式の理解 | マクスウェル方程式の意味を理解する |
第4回 | 分極の概念とその発現機構 | 分極の概念とその発現機構の理解 |
第5回 | 誘電分散 | 誘電分散の意味を理解する |
第6回 | 強誘電性 | 強誘電性を理解する |
第7回 | セラミックスコンデンサの技術的課題 | セラミックスコンデンサの技術的課題を学ぶ |
第8回 | チタン酸バリウムの基礎物性 | チタン酸バリウムの基礎物性を理解する |
第9回 | チタン酸バリウムのサイズ効果 | チタン酸バリウムのサイズ効果を理解する |
第10回 | 誘電体の欠陥化学と絶縁信頼性 | 誘電体の欠陥化学と絶縁信頼性について理解する |
第11回 | 分極反転素子 | 分極反転素子について理解する |
第12回 | 圧電MEMSデバイス1 | 圧電体MEMSデバイスの特徴について理解する |
第13回 | 圧電MEMSデバイス2 | 圧電体MEMSデバイスの特徴について理解する |
第14回 | 強誘電体薄膜 | 強誘電体薄膜の作製方法や特性ついて理解する |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね30分を目安に行うこと。
特になし
講義資料は講義中に配布する。
1) 誘電性に関わる物理量,分極の概念と機構,誘電緩和,強誘電性,圧電性の材料と応用などについての理解度について評価
2) 成績評価はレポート課題あるいは期末試験によって行う。
履修の条件を設けない