あらゆる生命の中で行われている反応の触媒となっているのは酵素であるため、生命理工学の理解には酵素の理解は非常に重要である。そのため、本講義は、酵素についての基礎および応用の総合的な講義とする。すでに修得している基礎的な生化学や有機化学の知識を応用すると理解できる、酵素に関する基礎知識について講義する。また、医療分野、食品分野、環境化学分野や有機化学分野等での酵素の国内外の最先端の応用研究について講義する。さらに、これらの分野に関する議論を行うための論理的思考能力をつけ、コミュニケーション力やプリゼンテーション力を磨く講義内容も含む。
最先端科学や工学をリードできる人材となれるように、酵素に関する総合的な講義を通して、専門知識の修得のみならず、論理的思考能力、コミュニケーション力、プリゼンテーション力をつけさせる。
本講義を履修することにより次の能力を修得する。
(1) 酵素の基礎と反応速度論および生物工学的な応用研究を理解する。
(2) 生体の代謝をつかさどる酵素が疾病等に及ぼす影響を理解する。
(3) 酵素の有機合成化学分野への応用について理解する。
(4) 有機合成化学に関する酵素の応用研究についての理解を深め、プリゼンテーションを行う。
酵素、酵素の反応速度論、
代謝関連酵素、
加水分解酵素、酸化還元酵素、補酵素
✔ 専門力 | 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
9回目までは、講義形式の授業とする。10回目から13回目は、インターラクティブな講義とし、グループでの議論も行う。また、14回目には、プリゼンテーションを行う。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 酵素について (小倉) | 酵素に関する基礎的な知識を得る |
第2回 | 実験室で用いられる酵素 (小倉) | 実験室で用いられる酵素についての知識を得る |
第3回 | 薬物代謝酵素 (小倉) | 薬物代謝酵素についての知識を得る |
第4回 | タンパク質分解酵素とホメオスタシス (小倉) | タンパク質分解酵素とホメオスタシスについての知識を得る |
第5回 | 中間試験と解説 | 中間試験を受ける 解説を理解する |
第6回 | 生体の恒常性を担う酵素の役割と、その破綻により起こる疾患(一瀬) | アミノ酸代謝を例として、酵素反応による生体恒常性維持の重要性と、酵素欠損による発症する先天性代謝異常について理解する |
第7回 | 遺伝子多型による酵素活性の変化と体質の変化(一瀬) | 酵素遺伝子の遺伝子多型により酵素活性が変化して、アルコール代謝や栄養素の吸収など体質が変化することを理解する |
第8回 | 薬や毒の作用点としての酵素 (一瀬) | 酵素が薬や毒の作用点となっていることを理解する |
第9回 | 酵素反応におけるビタミンやミネラル、および、試験 (一瀬) | 酵素反応にビタミンやミネラルがどのように関わっているか理解する 中間試験を受ける |
第10回 | 有機化学の知識をもとにした酵素の基礎 (松田) | 代表的な有機化学反応の反応機構の知識をもとに酵素反応の機構の理解 |
第11回 | 酵素の有機化学分野への応用 (松田) | 有機合成に関連する酵素反応の応用研究を理解 |
第12回 | 加水分解反応に関連する酵素の反応機構 (松田) | 酵素による加水分解反応についての機構の理解 |
第13回 | 酸化還元反応に関連する酵素の反応機構 (松田) | 補酵素が関与している酵素による酸化還元反応についての機構の理解 |
第14回 | プリゼンテーション(松田) | グループでのプリゼンテーションおよび質疑応答 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
配布資料
配布資料
酵素工学について理解度および応用能力を評価する。中間試験、レポート、受講態度などにより、評価する。ただし、試験やレポート課題は、すべて、行うとは限らない。
1〜5回目までの受講態度、レポート、中間試験など(36%)
6〜9回目までの受講態度、レポート、中間試験など(28%)
10〜14回目までの受講態度、プレゼンテーション、レポートなど(36%)
無し