2020年度 物理化学第二(統計熱力学)   Physical Chemistry II

文字サイズ 

アップデートお知らせメールへ登録 お気に入り講義リストに追加
開講元
生命理工学系
担当教員名
林 宣宏  徳永 万喜洋  長田 俊哉  蒲池 利章  朝倉 則行 
授業形態
講義
メディア利用
Zoom
曜日・時限(講義室)
火5-6(W521)  金5-6(W521)  
クラス
-
科目コード
LST.A206
単位数
2
開講年度
2020年度
開講クォーター
2Q
シラバス更新日
2020年9月18日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
アクセスランキング
media

講義の概要とねらい

生命現象の素過程を、物理学の基本的な概念や原理・法則の習熟により、物理化学反応として解釈することで、生命機能を理解することを目標とする。化学平衡、電気現象、反応速度論、生化学過程を、熱力学・統計熱力学の観点から定量的に学び、物理的現象と化学変化の本質的な考察力を深める。具体的な生命現象を題材に取ることにより、生命現象の本質的な理解を進める。基礎的な学問の習得により、科学技術の発展と利用、例えば生命理工学や臨床といった分野においても、応用力を発揮できる考察力を涵養する。

到達目標

1) 化学平衡を理解し、生命反応がなぜ起こるのかを熱力学・統計熱力学的に説明できる。
2) イオンと電子の輸送に関わる電気現象を定量的に理解し、溶液系・膜を介す輸送・電池・生体エネルギー論について説明できる。
3) 反応速度論を理解し、速度式を構築することができる。
4) 速度式を用いて生命反応機構と反応ダイナミクスを議論できる。
5) 複雑な生化学過程として、酵素反応およびその阻害を物理化学により説明できる。
6) 生命現象の素過程として、拡散現象・イオンの移動と膜を介した輸送・電子移動を物理化学により説明できる。

キーワード

統計熱力学、化学平衡、輸送、反応速度論、反応ダイナミクス、酵素反応、阻害、拡散現象、膜輸送、電子移動

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

教科書「アトキンス生命科学のための物理化学」に即して、入門的に詳細な解説を講義で行います。随時、テキストにある問題を演習的に各自で解いて理解を深めます。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 化学平衡:反応ギブズエネルギー、生物学的標準状態、平衡定数、吸熱の起源、化学平衡の分子論的起源(德永 万喜洋) 反応ギブズエネルギーを計算する。平衡定数の意義、平衡組成、吸熱反応、化学平衡の分子論の理解。
第2回 化学平衡:共同的結合、標準反応ギブズエネルギー、熱力学的安定性と変化の自発性、触媒・温度と平衡移動、共役反応(德永 万喜洋) ミオグロビン・ヘモグロビンと酸素の結合、標準反応ギブスエネルギー、ルシャトリエの原理、共役反応の理解。
第3回 化学平衡:生体エネルギー論における共役反応、高エネルギー化合物と転移能、エネルギー通貨としてのATP(德永 万喜洋) 細胞内ATPのΔrGを計算する。高エネルギー化合物と転移能、細胞内におけるATPの役割、グルコースの酸化と共役したATP産生の理解。
第4回 化学平衡:プロトン移動平衡;酸・塩基、多プロトン酸・両プロトン性、緩衝液(德永 万喜洋) プロトン移動平衡として酸・塩基、緩衝能、pKa・pKbとpHの関係、アミノ酸のプロトン移動平衡・pKa・pI、ヒト血液の緩衝能の理解。
第5回 イオンと電子の輸送の熱力学:イオン溶液、生体膜、膜電位(德永 万喜洋) デバイヒュッケルの法則、電解質溶液の活量、イオン輸送ΔG、ゴールドマンの式を説明し、イオン強度と膜電位を計算する。
第6回 イオンと電子の輸送の熱力学:酸化還元反応と化学電池、ネルンストの式、標準電位(德永 万喜洋) 酸化還元反応としての化学電池、ネルンストの式、標準電位の理解。電池反応の標準電位と平衡定数を計算する。
第7回 生体エネルギー論における電子移動と酸化還元反応(德永 万喜洋) 呼吸鎖と光合成における電子の移動・酸化還元反応・ATP合成の理解。
第8回 反応速度:定義、速度式と速度定数、次数(長田 俊哉) 反応速度論の理解。
第9回 反応速度:速度式の求め方、温度依存性(アレニウスの式)(長田 俊哉) 生命現象を反応速度式で表現する。反応が温度に依存することの理論的解釈。
第10回 速度式の解釈:反応機構の理解(長田 俊哉) 速度式を用いた反応機構の理解。
第11回 速度式の解釈:反応ダイナミクス(長田 俊哉) 速度定数の値を決めている諸因子の理解。
第12回 生化学過程の物理化学による理解:酵素反応(長田 俊哉) ミカエリス-メンテン機構の理解。阻害反応の確認。
第13回 生化学過程の物理化学による理解:生体膜輸送(長田 俊哉) 液体中の分子やイオンの動きを支配している法則の理解。
第14回 反応速度、速度式、生化学過程の物理化学による理解:まとめ(長田 俊哉) 反応速度論、速度式、酵素反応論、生体膜輸送過程に関して説明し、計算する。

授業時間外学修(予習・復習等)

学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。

教科書

Atkins他『アトキンス生命科学のための物理化学 第2版』東京化学同人,2014年,ISBN-13: 978-4807908387.

参考書、講義資料等

Atkins他『アトキンス物理化学(上) (下) 第10版』東京化学同人,2017年,ISBN-13: 978-4807909087, 978-4807909094.
Trap他『アトキンス 物理化学問題の解き方 (学生版) 第10版』東京化学同人,2017年,ISBN-13: 978-4807909100.
Tinoco他『バイオサイエンスのための物理化学 第5版』東京化学同人,2015年; ISBN-13: 978-4807908806.
Phillips他『細胞の物理生物学』共立出版,2011年; ISBN-13: 978-432005716

成績評価の基準及び方法

中間・期末試験無し。課題提出で評価、詳細は各先生から。課題は、基本的な事項、本質的な理解、定量的な理解を問う。

関連する科目

  • LST.A201 : 物理化学第一(熱力学,反応速度)
  • LST.A211 : 物理化学第三(分子軌道,相互作用)
  • LST.A341 : 生物物理化学
  • LST.A403 : 生物物理学

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

履修条件は特に設けないが、物理化学第一を履修していることが望ましい。

このページのトップへ