2019年度 環境生物工学   Environmental Bioengineering

文字サイズ 

アップデートお知らせメールへ登録 お気に入り講義リストに追加
開講元
生命理工学系
担当教員名
福居 俊昭  丹治 保典 
授業形態
講義     
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
月7-8(H135)  木7-8(H135)  
クラス
-
科目コード
LST.A363
単位数
2
開講年度
2019年度
開講クォーター
2Q
シラバス更新日
2019年3月20日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
アクセスランキング
media

講義の概要とねらい

現代社会における快適な生活はエネルギー、清浄で安全な水・空気・食糧、生活に必要な各種の資材や素材が過不足なく供給されるのと同時に、不要になった廃棄物を処理して環境の状態を適切に維持することによって成り立っている。環境生物工学とは、生物機能を工学的視点から捉えたバイオテクテクノロジーを地球環境の維持や修復に利用することを目指した学問領域である。本講義では環境に関与する生物(主に微生物)の機能、すなわち地球環境における物質循環、 炭素・酸素・窒素・リン・その他の物質の代謝、木質系資源の分解、生物的汚染環境修復(バイオレメディエーション)、およびこれら生物機能の持続可能社会への貢献(バイオマス資源からのバイオ素材やバイオ燃料の生産)について教授する。

到達目標

本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1)地球環境での炭素・水の循環と収支を捉えることができる
2)水環境中の窒素、リン、その他の物質の代謝と排水処理について説明できる
3)大気環境中の二酸化炭素、酸素、窒素の代謝について説明できる
4)土壌におけるバイオマス資源・農薬の分解や生物機能を用いた環境修復について説明できる
5)持続可能社会の構築における生物機能の貢献に関する知識を習得し、社会の持続発展について議論できる

キーワード

物質収支、循環、排水処理、硝酸化、脱窒、脱リン酸、メタン発酵、コンポスト、炭酸固定、窒素固定、生分解、バイオレメディエーション、バイオマス資源、持続可能社会

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

講義では生化学、分子生物学、微生物学等で学んだ基礎的な事項、および前回講義の内容について復習しつつ、教授する。必要に応じて、講義の要点を問題形式で示し、問題を解かせる。学生には授業前に各回の学習目標、およびテキストの該当する章を読んでおくことを勧める。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 環境生物工学の構成:環境生物工学の学問体系を概観、講義の構成 教科書の序章を読み、環境生物工学の歴史と役割が説明できる
第2回 地球表層の炭素と水の循環:生物の機能を推進力とする地球表層の炭素、および水のリザーバーとその循環 教科書の第1章を読み物質収支の概念を理解し、炭素と水の循環、およびリザーバー間の収支を捉えることができる
第3回 地球表層の窒素の循環:生物の機能を推進力とする地球表層の窒素の循環 教科書の第1章を読み、窒素の循環、およびリザーバー間の収支を捉えることができる
第4回 水環境の指標と排水処理:BOD, CODの定義と測定方法、および排水処理との関連 教科書の第2章を読み、生物化学的酸素要求量(BOD)と化学的酸素要求量(COD)の定義と測定方法を理解し排水処理との関連を説明できる
第5回 水環境に係わる生物機能とその評価:同化代謝、異化代謝、共代謝、硝酸化、脱窒 教科書の第2章を読み、同化代謝、異化代謝、共代謝、硝酸化、脱窒の生物学的機構を理解し排水処理との関連を説明できる
第6回 好気的生物処理:活性汚泥法の原理とプロセス、およびその評価 教科書の第2章を読み、活性汚泥法の機構、プロセス、およびその評価方法を説明できる
第7回 嫌気的生物処理:生物学的脱リンの原理とプロセス、およびメタン発酵の原理とプロセス 教科書の第2章を読み、生物学的脱リンおよびメタン発酵の原理とプロセスを説明できる
第8回 第1回~第7回までの内容を概観し、中間試験を実施する 第1回~第7回までの内容の復習を行い中間試験に臨む
第9回 大気環境に係わる生物機能:炭素代謝、および呼吸とエネルギー代謝 教科書の第三章を読み、独立栄養生育におけるCO2固定と光合成、従属栄養生育におけるCO2放出、およびこれらに関連するエネルギー代謝について説明できる
第10回 大気環境に係わる生物機能: 窒素固定と揮発性化合物の代謝 教科書の第三章を読み、窒素固定、および揮発性化合物の代謝について説明できる
第11回 土壌環境に係わる生物機能:木質系資源の微生物分解 教科書の第四章を読み、木質系資源に由来する多糖類やリグニンの微生物分解について説明できる
第12回 土壌環境に係わる生物機能:生分解性プラスチック、コンポスト 教科書の第四章を読み、生分解性プラスチックとコンポストについて説明できる
第13回 汚染環境修復技術に関わる生物機能:環境汚染物質の微生物分解 教科書の第五章を読み、環境汚染物質の微生物分解について説明できる
第14回 汚染環境修復技術に関わる生物機能:バイオレメディエーション 教科書の第五章を読み、バイオレメディエーションの概念と実践について説明できる
第15回 持続可能な社会創造と生物機能 教科書の第六章を読み、バイオマス資源の有効利用と持続可能社会について理解し、社会の持続発展について議論できる

教科書

環境生物工学(講談社サイエンティフィック、海野肇、松村正利、片山新太、丹治保典著) ISBN 4-06-139806-7

参考書、講義資料等

必要に応じ講義開始時に資料を配付し、パワーポイントを用いた解説を行う。講義で使用するパワーポイントスライドは事前にOCWを介し開示するので予習/復習に用いること。

成績評価の基準及び方法

中間試験(50%)、期末試験(50%)

関連する科目

  • LST.A203 : 生物化学第一
  • LST.A218 : 生物化学第二
  • LST.A345 : 微生物学
  • LST.A336 : 遺伝子工学

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

生物化学第一(A203)および 生物化学第二(A218)を履修していること,または同等の知識があること。

このページのトップへ