2018年度 生物化学工学   Biochemical Engineering

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開講元
生命理工学系
担当教員名
丹治 保典  上田 宏  平沢 敬 
授業形態
講義     
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
火3-4(H135)  金3-4(H135)  
クラス
-
科目コード
LST.A249
単位数
2
開講年度
2018年度
開講クォーター
4Q
シラバス更新日
2018年3月20日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
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講義の概要とねらい

「生物化学工学」は、生物の機能を一種の触媒として利用し、物質生産や物質変換を行うための工学体系である。利用する生物機能は、酵素や微生物はもとより、遺伝子操作などにより機能改変した微生物、動・植物細胞を含む。講義では生物化学工学を理解するための基礎となる化学工学基礎、流体工学、生体反応を定量的に捉えるための量論/速度論、生体機能を実際に利用するためのバイオリアクターの設計/操作、および生産された産物を分離精製するためのバイオセパレーションについて教授する。                        講義では最初にバイオプロセスの構成について概観した後、化学反応と生物反応の共通性と異質性に触れながら生体触媒の種類やその特性に関し実例を示しながら紹介する。生体触媒を用いた物質生産や物質変換を行う際は、酵素反応や細胞の増殖を定量的に捉える必要があり、生体触媒の量論/速度論で定量化を教授する。生体触媒を行う場がバイオリアクターである。生体触媒の固定化、固定化生体触媒を用いたバイオリアクターの設計方法、そしてその操作方法を教授する。バイオプロセスの最終操作が目的産物の分離(バイオセパレーション)である。様々な分離操作を紹介し、各装置の設計法を教授する。

到達目標

 本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1)化学工学における移動論、運動論、反応速度論に関する基礎的知識の修得
2)生物の分類とそれぞれの特徴、およびその工業的利用が提示できる
3)酵素の構造と機能、および酵素反応の速度を解析できる
4)バイオリアクターの特徴を理解し、リアクターの設計ができる
5)バイオリアクターの操作指針を理解し、リアクターの操作が提示できる
6)バイオプロダクトの分離手法を理解し、プロダクトの分離が提示できる

キーワード

物質収支、エネルギー収支、フラックス、流体力学、酵素、酵素反応速度論、生物化学量論、代謝、バイオリアクター、バイオセパレーション

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

毎回の講義前半で前回のまとめを行い、今回の要点を問題形式で示す。講義の後半で,前半で示した要点を教授するとともに、必要に応じ問題を解かせる。各回の学習目標をよく読み,予習・復習で行って下さい。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 バイオプロセスの構成: バイオプロセスが上流-中流-下流に分けることができそれぞれの役割 教科書の序章を読み、生物化学工学の歴史と産業における位置付けが説明できる
第2回 化学工学基礎(単位と移動論):基本単位/誘導単位の構成、物質収支、エネルギー収支、物質と熱のフラックス 様々な誘導単位を基本単位の組み合わせで表記できる
第3回 化学工学基礎(運動論): 流体の粘度、層流と乱流、ベルヌーイの式とその応用 講義で配布する流体工学に関する例題を解く
第4回 代謝と生体触媒: 生物の分類とそれぞれの特徴、細胞を構成する要素と分子 物質生産の際、条件に応じ最適の生体触媒が選択できる
第5回 代謝と生体触媒: 酵素、補酵素、セントラルドグマ、微生物、動物細胞、植物細胞、品種改良と分子育種 分子育種の手法を理解し、実用化には社会的受容が必須であることが説明できる
第6回 生物化学工学量論:物質基準の収率因子、エネルギー基準の収率因子 収率の概念を理解し、様々な収率因子の相互関を説明できる
第7回 酵素反応の速度論: Michaelis-Mentenの式、動力学定数の算出法、阻害剤の反応速度論 Michaelis-Mentenの式を導出できる
第8回 第1回~第7回までの内容を概観し、中間試験を実施する 第1回~第7回までの内容の復習を行い中間試験に臨む
第9回 細胞増殖の速度論: Monodの式、増殖速度、基質の消費速度、代謝産物の生成度 増殖速度、基質の消費速度、代謝産物の生成速度の相互関連を説明できる
第10回 バイオリアクターの種類と特徴:回分操作、連続操作、流加操作 各操作方式と特徴を理解し、装置の設計に役立てることができる
第11回 バイオリアクターの基本設計:回分バイオリアクター、連続バイオリアクター、微生物の培養槽 基質に着目した収支式から各リアクターの設計指針を導出できる
第12回 生体触媒の固定化: 固定化の方法、固定化酵素の速度論、固定化酵素の有効係数 固定化のメリットとデメリットを理解し、有効係数の導出ができる
第13回 バイオリアクターの操作: 滅菌操作、通気、移動容量係数(kLa )、撹拌 細菌の死滅速度の動力学を理解し、滅菌装置の設計ができる
第14回 バイオセパレーションの基本原理: 終末速度、遠心分離、沈降係数、Ruthの式 重力場における沈降速度と遠心場における移動速度の定量化ができる
第15回 バイオセパレーションの実際: 沈降分離、ろ過、吸着、膜分離、抽出 様々な分離プロセスの原理と操作を理解し、装置の基本設計ができる

教科書

「生物化学工学」第3版(丹治、今井、養王田、萩野): 講談社サイエンティフィック, ISBN978-4-06-139831-3 C3345

参考書、講義資料等

必要に応じ講義開始時に資料を配付し、Power-pointを用いた解説を行う。講義で使用するPower-pointファイルは事前にOCWを介し開示するので予習/復習に用いること。

成績評価の基準及び方法

中間試験(50%)、期末試験(50%)

関連する科目

  • LST.A336 : 遺伝子工学
  • LST.A363 : 環境生物工学
  • LST.A352 : 細胞工学
  • LST.A345 : 微生物学

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

物理化学1、物理化学2を履修していること,または同等の知識があること。

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