2018年度 医薬品化学   Pharmaceutical Chemistry

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開講元
生命理工学系
担当教員名
占部 弘和  小林 雄一  秦 猛志 
授業形態
講義     
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
火1-2(H121)  金1-2(H121)  
クラス
-
科目コード
LST.A343
単位数
2
開講年度
2018年度
開講クォーター
2Q
シラバス更新日
2018年3月20日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
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講義の概要とねらい

本講義では、生物活性化合物や医薬等の入手において必要な有機化学の実践的な知識および考え方を体系的に解説する。すなわち個々の反応、合成、および生成物の利用について、生物活性化合物や医薬等に汎出するヘテロ環化合物や光学活性化合物の取り扱い(不斉合成)を含めて説明する。さらに、天然由来の有機化合物の多様性、それらを有機化学で人工的に合成・修飾する手法、そして誘導された医薬について紹介する。すなわち、有機化学による反応・合成はもとより、構造活性相関や分子認識に基づく分子修飾と、こうして得られた医薬等が製薬工業化される過程まで講義する。

有機化学第一(アルカン、ハロアルカン)〜同第四(カルボニル化合物、アミン)で修得した有機化合物の性質、分析、反応、および合成等を必要に応じて復習しつつ、生物活性化合物や医薬等の入手といったより具体的な事例により、高いレベルでの有機化学の応用・利用を活きた知識や考え方として定着させる。さらに本講義では、天然の生物活性化合物の利用や、それから出発して人工の薬剤の設計を行う際に必要な構造活性相関や分子認識による受容体とのマッチングにおける有機化学の重要性についても修得させる。すなわち、有機化学の実践的な運用能力を修得するとともに、生命理工学分野において有機化学がカバーする幅広い領域について、製薬工業化も含めて理解させる。

到達目標

本講義を履修することにより次の能力を修得する。
1. 有機化学が、医薬開発において反応・合成のみならず生物活性化合物をリード化合物とする取り扱いや構造活性相関等に必須であることを理解し説明できる。
2. 医薬品に汎出するヘテロ環化合物の性質、反応、合成について理解し説明できる。
3. 光学活性化合物の性質、反応、および合成法について理解し説明できる。
4. 天然有機化合物や生体分子の構造の多様性と相応する合成法について理解し説明できる。
5. 天然有機化合物や生体分子を分子修飾した医薬について、その過程を理解し説明できる。
6. 医薬等の工業生産への道筋について理解し説明できる。

キーワード

リード化合物、構造活性相関、ヘテロ環、生体分子、天然有機化合物、光学活性化合物、不斉合成、分子認識、コンビナトリアル合成、プロセス化学

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

講義は、プリント等の教材を利用して行う。ただし、第4回と5回に予定しているヘテロ環化合物に関する講義は、下記の教科書を使用する。毎回の授業の最後の10分間で小演習を行い、その解答や注意点は次回の授業の冒頭で解説する。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 有機化学と医薬品化学 有機化学が医薬開発にどのように利用されるかを、理解し説明できる。
第2回 医薬品合成におけるリード化合物 医薬合成とその出発点である天然有機化合物からのリード化合物の選出や合成展開について理解し説明できる。
第3回 薬剤の構造と生物活性(構造活性相関) 薬剤の構造の有機化学による解析と、構造活性相関(SAR)や官能基の生物学的等価性について理解し説明できる。
第4回 脂肪族ヘテロ環化合物と医薬品 生物活性化合物や医薬によく見られる脂肪族ヘテロ環化合物の性質・反応・合成を理解し説明できる。
第5回 芳香族ヘテロ環化合物と医薬品 生物活性化合物や医薬によく見られる芳香族ヘテロ環化合物の性質・反応・合成を理解し説明できる。
第6回 生体分子と天然有機化合物 微生物等から産生される天然有機化合物と生体分子の多様性を理解し説明できる。
第7回 生体分子の有機化学・薬学 脂質代謝産物等の生体分子について、分子レベルの視点から理解し説明できる。
第8回 生体分子の合成 生体分子を有機合成法する意義と代表的な合成法を理解し説明できる。
第9回 天然有機化合物の有機化学・薬学 生理活性を示す天然有機化合物について有機化学・薬学的視点を理解し説明できる。
第10回 天然有機化合物の合成 生理活性を示す天然有機化合物の有機合成法を理解し説明できる。
第11回 光学活性化合物 医薬品構造に多数存在する光学活性化合物の性質を理解し説明できる。
第12回 不斉合成と医薬品 光学活性な医薬品を開発する上で必要な不斉合成法を理解し説明できる。
第13回 分子認識 医薬品の機能発現に必要な分子認識を理解し説明できる。
第14回 コンビナトリアル合成 医薬品開発初期段階で利用するコンビナトリアル合成を理解し説明できる。
第15回 プロセス化学 医薬品開発後期段階におけるプロセス合成を理解し説明できる。

教科書

プリント等を、授業内容に合わせて適宜配布する。ただし、第4回と5回に予定しているヘテロ環化合物に関する講義は、次を教科書として使用する:ボルハルト・ショア― 『現代有機化学(下)第6版』 化学同人 25章 (pp. 1383~1433)。

参考書、講義資料等

必要がある場合は、講義中に紹介します。

成績評価の基準及び方法

毎回の授業の最後に行う小演習の取り組み(30%)と、期末試験の成績(70%)の合算で評価する。

関連する科目

  • LST.A202 : 有機化学第一(アルカン,ハロアルカン)
  • LST.A207 : 有機化学第二(アルコール,アルケン)
  • LST.A212 : 有機化学第三(ベンゼン,ケトン)
  • LST.A217 : 有機化学第四(カルボニル化合物,アミン)
  • LST.A333 : 生物有機化学

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

特に有りません。

連絡先(メール、電話番号)    ※”[at]”を”@”(半角)に変換してください。

占部弘和:hurabe[at]bio.titech.ac.jp、045-924-5849;小林雄一:ykobayas[at]bio.titech.ac.jp、045-924-5789;秦 猛志:thata[at]bio.titech.ac.jp、045-924-5838

オフィスアワー

日時をメールで事前に予約して下さい。占部弘和:B2棟11階1131号室;小林雄一:B1棟9階902号室;秦 猛志:B2棟11階1127号室

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