緑色蛍光タンパク質(GFP)について生命理工学の様々な学問分野ー物理化学、有機化学、生物化学等ーからアプローチし、「構造が機能をつくる」ことを理解させる。分子模型や計算機等を使って学生自身で手を動かし考えることで、遺伝子発現(セントラルドグマ)の流れ、タンパク質の立体構造やフォールディングのしくみ、発色団が蛍光を発するしくみ、蛍光観察を行う技術等の直感的理解を目指す。
講義に加えて分子模型や計算機等に活用した演習を平行して進め、遺伝子発現(セントラルドグマ)の流れ、タンパク質の立体構造やフォールディングのしくみ、発色団が蛍光を発するしくみ、蛍光観察を行う技術等を直感的に理解させ、生命理工学分野への興味を喚起するのが主なねらいである。
本科目を履修することによって次の能力を修得する。
1)GFPの発光のしくみを物理化学、有機化学、生物化学、構造生物学の様々な観点から理解する。
2)発光を支えるGFPタンパク質の構造や、タンパク質をつくりだす遺伝子発現(セントラルドグマ)の流れ、蛍光観察を行う技術等について基礎的レベルで理解し説明することができる。
緑色蛍光タンパク質(GFP)、セントラルドグマ、フォールディング、蛍光顕微鏡
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
オムニバス形式で行い、講義と演習を並行して進める。タブレットPC、分子模型、その他を用いて課題を解決する演習を授業中に行う。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | GFPが光る仕組み1:生体内や自然界に存在する様々な有機色素分子にフォーカスし、分子軌道等の基礎的な解説も交えて、発光のしくみを化学的を説明する。 | 様々な有機色素分子の発光の物理化学的なしくみを理解し説明する。 |
第2回 | GFPが光る仕組み2:GFPの発色団であるp-ヒドロキシベンジリデンイミダゾリノンの化学構造や物理的性質について解説し、タンパク質が光るしくみを理解させる。 | GFPの発色団の分子構造を記述し、その発光の分子機構を詳しく説明することができる。 |
第3回 | GFPの発光を支えるタンパク質の構造1:構造生物学の立場から、GFPの立体構造を原子レベルで詳しく解説する。 | 構造生物学の立場から、GFPタンパク質の立体構造の特徴を説明できる。 |
第4回 | GFPの発光を支えるタンパク質の構造2:GFPというタンパク質の一次構造から立体構造が形成されるフォールディングの過程を解説する。 | タンパク質の一次構造から立体構造が形成されるフォールディングの過程を理解し説明できる。 |
第5回 | GFPの細胞内観察に用いる蛍光顕微鏡の原理:GFPを用いて生細胞内でタンパク質分子を蛍光観察する技術を解説する。 | 蛍光顕微鏡の基本的な原理を理解し、説明できる。 |
第6回 | GFPの遺伝情報が複製される仕組み:GFPをつくる情報は、突き詰めればDNAの塩基配列に刻まれている。DNAの塩基配列が複製・維持されるしくみを、分子模型を利用しながら考えていく。 | DNAの二重らせん構造を原子レベルで理解し、遺伝情報が正確に継承されるしくみの基礎を説明できる。 |
第7回 | GFPを用いた細胞生物学研究:GFPを用いることで、遺伝子の発現パターンやタンパク質の細胞内局在、細胞内での様々な生化学的過程などを可視化することができる。こうしたGFP観察の応用例を解説する。 | GFPを用いた細胞生物学研究の例を挙げることができる。 |
学修効果を上げるため,「毎授業」授業内容に関する予習と復習を各担当教員の指示に従い行うこと。
指定なし。
指定なし。
授業中に出される課題の提出物に基づいて評価する。期末試験は実施しない。全出席が原則である。
履修の条件は設けないが、「科学・技術の最前線」を履修していることが望ましい。