2017年度 高性能科学技術計算   High Performance Scientific Computing

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開講元
情報工学コース
担当教員名
横田 理央  遠藤 敏夫 
授業形態
講義     
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
月1-2(W831)  木1-2(W831)  
クラス
-
科目コード
CSC.T526
単位数
2
開講年度
2017年度
開講クォーター
1Q
シラバス更新日
2017年4月6日
講義資料更新日
2017年5月29日
使用言語
日本語
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講義の概要とねらい

本講義では科学技術分野で用いられる数値解析手法の原理を理解し,それを高速に解くためのアルゴリズムを習得することを目的とする. 有限差分法, 有限要素法などの離散化手法の特性を理解し, その結果生じる連立一次方程式の直接解法や反復解法, 前処理について学習する. 境界要素法や粒子法などの積分方程式型の解法とそれらの高速解法についても学習する. 講義の冒頭で最先端の現場で行われているシミュレーションを取り上げ, その手法の根本原理を講義で解説することで意義を明確にする.

到達目標

本講義を受講することで以下の能力を習得することができる.
1. 有限差分法,有限要素法を用いて連続場を解析できるようになる.
2. 分子動力学法,SPH などを用いて粒子系の物理現象を解析できるようになる.
3. 放物型,双曲型,楕円型の方程式の特性を理解し,適切な解法を選択できるようになる.
4. スペクトル法や境界要素法などの特殊な離散化手法を理解し,状況に応じて選択できるようになる.
5. 蜜行列・疎行列の直接解法・反復解法のそれぞれの特性を説明できるようになる.
6. 反復解法の前処理,マルチグリッド法について理解し,状況に応じた選択ができるようになる.

キーワード

有限差分法, 有限要素法, スペクトル法, 境界要素法, 粒子法, SPH, Particle mesh, 重み付残差法, 離散化誤差, 収束性, 安定性, 偏微分方程式, 積分方程式, 初期条件, 境界条件, 時間積分, 方物型方程式, 双曲型方程式, 楕円型方程式, 疎行列, 蜜行列, 固有値解析, 直接解法, マルチフロンタル法, 反復解法, クリロフ部分空間法, 前処理, マルチグリッド法, 高速多重極展開法

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

各講義の 2/3 は基礎的内容について, 残る1/3 は発展的応用的内容についての解説に充てる.

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 微分方程式の離散化 前進・後退・中心差分,高次の差分を用いて 微分方程式を離散化し, 誤差を評価できる
第2回 有限差分法 時間積分の安定性や高次精度の積分を理解し 移流・拡散・波動方程式を解析できる
第3回 有限要素法 Galerkin 法,テスト関数,isoparametric 要素 の概念を理解し,弾性方程式を解析できる
第4回 スペクトル法 Fourier・Chebyshev・Legendre・Bessel などの 直交基底関数による離散化の利点を説明できる
第5回 境界要素法 逆行列と δ 関数・Green 関数の関係を理解し 境界積分方程式を用いた解析ができる
第6回 分子動力学法 時間積分の symplectic 性や熱浴の概念を理解し 分子間に働く保存力の動力学を解析できる
第7回 Smooth particle hydrodynamics (SPH) 法 微分演算子の動径基底関数による離散化と その保存性・散逸性を評価できる
第8回 Particle mesh 法 粒子と格子の両方の離散化を組み合わせる場合の 離散点からの補間法と高次モーメントの保存法
第9回 密行列の直接解法 LU 分解の原理を理解し,その最適化・並列化 と LINPACK ベンチマークの特徴を理解できる
第10回 密行列の固有値解析 固有値・固有ベクトルの求め方を習得し対角化 正規直交化の高速化手法を理解できる
第11回 疎行列の直接解法 AMD や Nested dissection などの並べ替え法と skyline・multifrontal 法の高速化手法を理解
第12回 疎行列の反復解法 正定値行列や条件数の概念を理解し,Jacobi 法 CG 法,GMRES 法の相違点を理解
第13回 反復法の前処理 前処理による条件数やスペクトル半径への影響や 前処理された CG 法の効果を理解できる
第14回 マルチグリッド法 V-cycle における緩和・縮約・補間の役割を理解し 前処理法としての効果を理解できる
第15回 FMM,H 行列 多重極展開,低ランク近似の概念を理解し 木構造の果たす役割を理解できる

教科書

なし

参考書、講義資料等

“Computational Science and Engineering”, G. Strang, Wellesley-Cambridge Press, 2007.

成績評価の基準及び方法

小レポート (40%) 期末レポート (60%)により評価する.

関連する科目

  • 数値計算法(学部)
  • 計算数理応用–アルゴリズム–

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

なし

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