工学的なシステムから自然現象,社会システムまで,離散システムと考えてモデリングすることができるシステムは非常に多くあります.離散システムのモデリング,設計,実装,シミュレーションに関する講義,異分野出身者からなるグループによる問題解決を通して,それらを統合的に身につけることを目標とします.具体的には,離散系のモデル,意思決定論,ゲーム理論,メタヒューリスティクス,オブジェクト指向モデリングなど,離散システムのモデリングと実装方法を講義およびJavaを用いた演習によって学びます.
本講義を履修することによって,離散システムのモデリング・設計・実装・シミュレーションに必要な知識を習得し,実際に運用できるようになることを到達目標とします.さらに,グループ演習を通じて,グループによる問題解決,コミュニケーション,プレゼンテーションができるようになることを目標とします.
本講義を履修することによって次の能力を習得する.
1) 離散システムとは何か,同型性,離散系モデルの例を説明できる.
2) 意思決定基準,不確実性下での意思決定,情報の価値,ベイズ意思決定を説明できる.
3) 非協力ゲーム,Nash均衡,戦略の混合拡大,展開形ゲーム,繰り返し型ゲーム,進化ゲームを説明できる.
4) 山登り法,シミュレーテッドアニーリング,タブーサーチ,確率的多点探索を説明できる.
5) 離散システムをオブジェクト指向モデリングによりモデリングし,Javaにより実装できる.
6) グループ内で適切なコミュニケーションをとりながら問題解決できる.
離散系のモデル,意思決定理論,ゲーム理論,メタヒューリスティクス,オブジェクト指向モデリング,Java
✔ 専門力 | 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
各講義において,講義内容の理解の促進及び評価を行うためのレポート課題を出題します.講義の冒頭では,復習を兼ねて前回のレポート課題の解説を行います.また,講義全体の理解度を評価するための最終レポートを課します.必要に応じて,講義に先立ち講義資料を事前に配布するので,予習を行ってください.
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 離散システムとは,同型性,離散系のモデル | 同型性,離散系のモデルの具体例の理解 |
第2回 | 意思決定とは,意思決定基準と不確実性下での意思決定 | 意思決定基準,不確実性下での意思決定の理解 |
第3回 | 情報の価値、ベイズ意思決定 | 情報の価値、ベイズ意思決定の理解 |
第4回 | ゲームとは,非協力ゲーム,Nash均衡,戦略の混合拡大 | 非協力ゲーム,Nash均衡,戦略の混合拡大の理解 |
第5回 | 展開形ゲーム、繰り返し型ゲーム、進化ゲーム,進化的安定戦略 | 展開形ゲーム、繰り返し型ゲーム、進化ゲームの理解 |
第6回 | メタヒューリスティクスとは,山登り法,シミュレーテッドアニーリング | 山登り法,シミュレーテッドアニーリングの理解 |
第7回 | タブーサーチ,確率的多点探索 | タブーサーチ,確率的多点探索の理解 |
第8回 | グループ演習課題の説明,グループ編成 | グループ演習課題の理解,グループメンバーとのアイスブレーキング |
第9回 | オブジェクト指向モデリング | オブジェクト指向モデリングの理解 |
第10回 | オブジェクト指向言語Javaとは,型,クラス-インスタンス,メソッド | Javaにおける型,クラス-インスタンス,メソッドの理解 |
第11回 | 継承,制御構造,例外処理,クラスライブラリ | Javaにおける制御構造,例外処理,クラスライブラリの理解 |
第12回 | 離散システムの設計 | Javaによる離散システムの設計 |
第13回 | 離散システムの実装,テスト | Javaによる離散システムの実装,テスト |
第14回 | 離散システムのシミュレーション | 実装システムのシミュレーションの実行とグループ演習の成果のとりまとめ |
第15回 | グループ演習の成果発表会 | グループ演習の成果のプレゼンテーション |
各講義で必要な資料を配布する.
ジョセフ・オニール『独習Java 第4版』翔泳社,ISBN-13: 978-4798117157
離散系のモデル,意思決定論,ゲーム理論,メタヒューリスティクス,オブジェクト指向モデリング,Javaによるオブジェクト指向プログラミングなど,離散系のモデリングに必要な知識の理解度,および,その応用力を評価する,各講義でのレポート(40%)および最終レポート(60%)で評価する.
履修の条件を設けない.