I. なにゆえ量子力学が必要なのか。量子力学の概念の理解。量子力学の基本的な方程式を具体的な例に当てはめる。
II. 水素原子に量子力学を適用して、原子軌道の成り立ちと元素の周期表について理解する。
III. 量子力学を化学結合に当てはめて共有結合の本質について説明した後、π軌道、混成軌道などといった概念について説明する。共役π電子系を扱うヒュッケル法の計算の仕方について学ぶ。
元素の周期表と化学結合の本質について理解するために、量子力学の基礎について学ぶ。学習の目標は
(1) 量子力学が必要になった経緯について知る
(2) シュレーディンガー方程式と波動関数について理解する
(3) 原子軌道と周期表について理解する
(4) 共有結合の本質について理解する
(5) 極性結合、σ結合とπ結合、混成軌道といった概念について理解する
(6) 共役π電子系を扱うヒュッケル法の計算ができるようになる
シュレーディンガー方程式、波動関数、分子軌道、混成軌道、ヒュッケル法
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
量子力学には最初馴染みがない概念が出てくるので、とにかく授業のなかで量子力学の考え方に慣れていくことを強く勧める。周期表や化学結合といった材料・化学を理解する上で必須の概念を学ぶのが目標である。
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | 微視的な系の力学 | 物質の理解には量子力学が必要である理由を説明出来るようになる。 |
第2回 | 量子力学の原理 | 量子力学の枠組が説明出来るようになる。 |
第3回 | 重ね合わせ・不確定性原理 | 重ね合せによる期待値の計算方法と、不確定性原理を理解する。 |
第4回 | 井戸型ポテンシャル中の粒子 | 粒子が閉込められると、粒子の取り得るエネルギーが離散的になる理由を説明できるようになる。 |
第5回 | トンネル効果・調和振動子 | 古典的な禁止領域でも有限の存在確率が生じることを理解する。 |
第6回 | 2次元と3次元の回転 | 回転運動への適用手法を習得する。 |
第7回 | 水素原子と周期表 | 原子軌道と周期表について理解する。 |
第8回 | 中間試験 | |
第9回 | 水素分子 | 分子軌道法の基礎を理解する |
第10回 | 結合軌道と反結合軌道、規格化 | 結合軌道と反結合軌道について理解する |
第11回 | 共有結合 | 共有結合について説明できるようになる。 |
第12回 | 極性結合 | 極性結合について分子軌道法から説明できるようになる。 |
第13回 | ニ原子分子とσ軌道、π軌道 | 窒素分子、酸素分子などの分子軌道について説明できるようになる。 |
第14回 | 混成軌道と多原子分子 | 化合物中の炭素がどのような混成軌道をもつか答えられるようになる。 |
第15回 | 共役π電子系 | 共役π系のヒュッケル法での計算ができるようになる。 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
アトキンス 「物理化学 第10版」 上巻 (東京化学同人)7章~10章
特になし
クイズと試験
なし