代謝は生物が生きていく上で必要となるエネルギーを獲得するために必要であるのみならず、細胞応答や病態などとも密接に関係している。本講義では、主に微生物や動物における細胞応答や病態について「代謝」という観点から学習する。
本講義を受講することにより、生物における細胞応答や病態に関する知見を学ぶとともにそれら知見の工学・医学分野への応用についても理解を深める。
本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1) 微生物の代謝制御を理解するとともに、微生物の代謝機能を活用した有用物質生産についてその技術や実例を説明できるようになる。
2) 腸内に生息する腸内細菌の概要を理解し、宿主との共生におけるコミュニケーションを相互の代謝変化から説明できるようになる。
3) 哺乳動物の水電解質代謝、エネルギー代謝とそれらの制御における泌尿器系、消化器系、筋肉系、内分泌系の役割と関連疾患のメカニズムについて説明できるようになる。
4) 幹細胞における代謝制御を理解し、その特性を利用した細胞分化誘導技術や治療法を説明できるようにする。
微生物、代謝工学、有用物質生産(ものづくり)、プロバイオティクス、常在細菌、共生、水電解質代謝、エネルギー代謝、臓器機能、幹細胞、アミノ酸代謝、再生医療
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
ライブ型(ZOOM)授業により行います。授業の前に、課題欄に記載されている項目について、予習しておくことが望ましいです。なお、その日の教授内容に関する演習問題に取り組んでもらうことがあります。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 代謝工学とは? | 代謝工学の定義と代謝工学における技術について説明できる。また、微生物細胞を用いた有用物質生産の研究について、その戦略を学ぶとともに、近年の有用物質生産の実例について理解を深める。 |
第2回 | 代謝フラックス解析1 | 細胞内の代謝流量(フラックス)を解析する手法について理解を深める。 |
第3回 | 代謝フラックス解析2 | 13C標識基質を用いた代謝フラックス比解析の原理を理解する。 |
第4回 | 腸内細菌の基礎 | 腸内細菌の解析方法と全体像について理解し、その重要性に関して説明できる。 |
第5回 | 腸内細菌と宿主 | 腸内細菌の生体に与える影響に関して理解を深める。 |
第6回 | 腸内環境改善 | 腸内環境を改善を通して生体機能改善の例に関して理解する。 |
第7回 | 哺乳動物における水電解質代謝 | 水電解質代謝における腎臓や腸の機能を分子、細胞、組織レベルで理解する。 |
第8回 | 水電解質代謝制御と疾患 | 水電解質代謝の内分泌制御、及び関連する疾患について学ぶ。 |
第9回 | 哺乳動物におけるエネルギー代謝 | エネルギー代謝における腸、肝臓、脂肪組織、骨格筋の機能を分子、細胞、組織レベルで理解する。 |
第10回 | エネルギー代謝制御と疾患 | エネルギー代謝の内分泌制御、及び関連する疾患について学ぶ。 |
第11回 | 幹細胞の代謝概論 | 幹細胞についての基礎を学ぶとともに、幹細胞のエネルギー代謝について理解する |
第12回 | 幹細胞の糖代謝 | これまでの講義で学んだ糖代謝を復習し、幹細胞の糖代謝について理解を深める |
第13回 | 幹細胞のアミノ酸代謝 | 幹細胞におけるアミノ酸代謝を学ぶとともに、それが未分化性維持および分化における役割についても理解を深める |
第14回 | 再生医療研究への応用 | 幹細胞の代謝特性を利用した再生医療研究について理解を深める |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
特になし
講義資料はT2SCHOLAにアップロードする。
各担当教員より講義内容に関連するレポート課題を課し、到達目標に対する達成度により評価する。
履修条件は特に設けないが、生物化学、分子生物学、細胞生物学に関する基礎的な知識を有していることが望ましい。
この講義は、基礎レベルから発展レベルまでをフォローする。また、講義の最後に日本人学生向けに日本語で概要を説明することがある。