遺伝子組換え技術は生体分子であるDNAとタンパク質を人為的に改変することを可能とした。さらに近年の遺伝子組換え技術の発展により大規模かつ複雑な操作をDNA・染色体に施すことでタンパク質や細胞の表現型としての機能を巧みに改変し、その機能を分子認識、物質生産、イメージングなどの工学的応用に用いることが実現されている。本講義では遺伝子工学、代謝工学、タンパク質工学、染色体工学、バイオイメージングについての基本的知識を教授し、さらにこれらにおける先端的な研究を紹介する。
本講義を履修することにより、
(1) 遺伝子工学・代謝工学の概要を理解し、有用物質生産に向けた微生物の遺伝子や代謝の操作に関する先端的な知識を習得する
(2) タンパク質工学の概要を理解し、タンパク質の熱安定化、分子進化工学、抗体工学に関する先端的な知識を習得する
(3) 染色体工学の概要を理解し、人工染色体を用いた染色体工学、発生工学と遺伝子組換え動物作製への活用、バイオイメージングに関する先端的な知識を習得する
タンパク質工学、遺伝子工学、代謝工学、染色体工学、バイオイメージング
✔ 専門力 | ✔ 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
5人の教員が2-3回ずつの講義を担当し、生体分子工学における各分野の概説、およびその分野における最新トピックスについて、パワーポイントを用いた解説を行う。講義はオンライン(ZOOM)によるライブ型で実施する。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 遺伝子工学の先端技術 | 遺伝子工学の基礎技術から先端技術について説明でき る。 |
第2回 | 微生物代謝と代謝工学 | 微生物代謝、および代謝工学の概要と方法論について説明できる。 |
第3回 | 物質生産に向けた微生物代謝工学の実際 | 有用物質生産に向けた微生物代謝工学の実際例について理解し、説明できる。 |
第4回 | 人工染色体を用いた染色体工学 | 人工染色体を用いた遺伝子組換え操作と最新の染色体工学技術を説明できる。 |
第5回 | 遺伝子/発生工学技術・ゲノム編集と遺伝子組換え動物 | 遺伝子組換え動物作成における発生工学技術を理解する。 |
第6回 | 遺伝子操作によるバイオイメージング | 蛍光タンパク質をはじめとした最新のバイオイメージング技術を理解する。 |
第7回 | タンパク質工学:(1) 概論と熱安定化 | タンパク質工学の概念とそこで使われる方法論,さら に代表的な応用である熱安定化について説明できる。 |
第8回 | タンパク質工学:(2) 合理的設計と分子進化工学 | タンパク質工学の二つの重要な手法である合理的設計 と分子進化工学の基礎と応用例について説明できる。 |
第9回 | タンパク質工学:(3) 抗体工学 | タンパク質工学の重要な応用である抗体工学の基礎と 応用例について説明できる。 |
第10回 | 蛍光タンパク質エンジニアリング | 発光タンパク質の機能とそれを利用したバイオセンサー開発について理解し,説明できる。 |
第11回 | 発光タンパク質エンジニアリング | 発光タンパク質の機能とそれを利用したバイオセンサー開発について理解し,説明出来る。 |
第12回 | 細胞を外部より操作する技術 | タンパク質工学的手法で受容体や酵素を改変し細胞の機能を制御する方法について理解し,説明できる。 |
第13回 | 光合成と植物炭素代謝 | 光合成生物における光合成と炭素代謝の関係について説明できる。 |
第14回 | 植物脂質代謝と脂質代謝工学 | 植物脂質代謝と脂質代謝工学について説明できる。 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
特になし。
必要に応じ講義開始時に資料を配付し、パワーポイントを用いた解説を行う。講義で使用するファイルは事前にOCW-iにより公開する。
各教員が提示する課題の提出により評価する。(20%ずつ)
履修条件は特に設けないが、関連する科目を履修しているなど、生化学・分子生物学の基礎的な知識を持っていること。
本講義は全て英語で行うが、講義の最後に日本語による補足説明を加えることがある。