本講義は、触媒反応工学と生物反応工学から構成されている。これらの分野について、国内外の最新のトピックスを紹介するとともに、これを工学的に利用するための基礎理論から工業プロセスを含めた応用までを学ぶ。
触媒反応工学の講義では、先ず石油精製から石油化学までの概論を説明する。先ず、反応器内の不均一な流体挙動を理解する。石油化学において重要な気固触媒反応について、触媒細孔内における拡散速度と反応速度の評価、および触媒の活性劣化について学ぶ。そして触媒反応プロセスの理解と反応器設計の素養を身につける。
生物反応工学では、生物の機能を一種の触媒として用いた物質生産や物質変換を行うバイオプロセスについて、最近のトピックスを通して学ぶ。微生物をはじめとして生物の多様な機能を工業的に利用するため、生物資源の分離と育種からはじまり、生体触媒反応を定量的にとらえるための速度論、バイオリアクター、バイオプロセスの計測と制御、バイオプロダクトの分離・精製、バイオ計測、環境バイオに至る技術分野について習得し、バイオ関連技術の産業利用について素養を身につける。
本講義を履修することにより,以下の知識と能力を習得する。
1) 石油精製と石油化学の概要を理解できる
2) 反応器内の不均一な流体挙動を定式化できる
3) 気固触媒反応と触媒の活性劣化を理解できる
4) 反応器設計法を理解できる
5) 微生物の特徴と培養法について説明できる
6) 微生物の増殖速度論、微生物を利用した物質生産について解析できる
7) 酵素の特徴とその反応速度論について説明できる
8) バイオリアクターの設計およびプロセス制御法、反応産物の回収法について説明できる
反応工学,石油化学,固体触媒,反応器設計,酵素反応,微生物反応,生物分離
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
毎回の講義の前半で前回のまとめを行う。講義内容の確実な理解と応用力を養うために,講義内容に関した演習を行うと共に,レポートを課す。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 石油精製と石油化学 | 石油精製,石油化学の概論を理解できる |
第2回 | 流通反応器の流体混合 | 流通反応器内の流体の流動状態を理解できる |
第3回 | 気固触媒反応 | 固体触媒細孔内における物質収支と速度解析を理解できる |
第4回 | 気固触媒反応 | 触媒有効係数と活性劣化を理解できる |
第5回 | 気固触媒反応 | 触媒反応プロセスを理解できる |
第6回 | 気固反応 | 石炭のガス化,合成ガス製造を理解できる |
第7回 | 触媒反応と化学プロセス | 触媒反応器を設計できる |
第8回 | 生物資源の探索・育種 | 微生物の分離,保存,育種について説明できる |
第9回 | 生体触媒反応の速度論 | 酵素や微生物の反応速度論を解析できる |
第10回 | バイオリアクター | 細胞培養,準備過程,計測と制御について説明できる |
第11回 | バイオプロダクトの分離・精製 | 生物分離プロセス,クロマトグラフィーについて説明できる |
第12回 | 遺伝子工学・ゲノム利用工学 | オミクス解析,生物情報工学について理解できる |
第13回 | バイオ計測 | バイオチップ,バイオデバイスについて理解できる |
第14回 | 環境バイオ | バイオエネルギー,廃水処理について理解できる |
第15回 | 総合演習 | 学習した内容の点検と確認 |
講義毎に資料を配布する
橋本健治著『反応工学』培風館,
Octave Levenspiel "Chemical Reaction Engineering",
化学工学会バイオ部会編 『バイオプロダクション』 コロナ社,
太田口和久著 『反応工学解析』 朝倉書店,
近藤昭彦、芝崎誠司編 基礎生物学テキストシリーズ10 『遺伝子工学』 化学同人
課題・演習(50%)、レポート(50%)
特になし