[講義の概要]本講義では,化学工学的アプローチのベースとなる反応拡散方程式と,材料システム設計の考え方について,基礎から展開までを学ぶ。
[講義のねらい]社会で実際に役に立つ材料・デバイス開発には,化学工学のシステム的な材料設計手法が有用である。すなわち,個々の要素技術の高機能化だけではなく,それらを目的性能に応じて統合する必要がある。化学プロセスを例に取ると、反応性を向上させるだけではなく、物質移動特性を考慮した材料や構造の設計が必要になる。本講義では,材料システム設計の基礎として反応拡散方程式について学ぶ。続いて,材料システム設計の適用方法を具体例とともに示す。
本講義を受講することによって,
1) 化学工学のシステム的な材料設計手法が、環境・エネルギー分野の先端材料・デバイス開発においてどのように活用されているかを理解することができる。
2) 材料設計の根幹となる反応拡散方程式の基礎的な考え方と計算手法を習得できる。
3) 材料システム設計に基づいて実際の材料・デバイス開発を行うための考え方を学ぶことができる。
化学工学、材料設計、環境、エネルギー、デバイス、反応拡散方程式
専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
講義の前半(第1回~第4回)では,材料設計の考え方を理解するための基礎を学び,後半(第5回-第8回)では,材料設計の概念が最新の材料・デバイス開発にどのように活用されているかを、具体例をもとにして講述する。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 材料機能のシステム設計の考え方 | 材料機能のシステム設計の考え方を説明できる。 |
第2回 | 反応拡散方程式・基礎式 | 反応拡散方程式を立式できる。 |
第3回 | 反応拡散方程式・有限差分法 | 有限差分法による微分方程式の差分化について説明できる。 |
第4回 | 分離膜の材料システム設計論1溶解性の予測 | 高分子膜の溶解性を予測できる。 |
第5回 | 分離膜の材料システム設計論2拡散性の予測 | 高分子膜中の分子拡散性を予測できる。 |
第6回 | 分離膜の材料システム設計論3透過性の予測 | 高分子膜の透過性能を実験せずに予測できる。 |
第7回 | 反応拡散方程式・演習1非定常拡散 | 反応拡散方程式について非定常拡散の数値解を得ることができる。 |
第8回 | 反応拡散方程式・演習2非定常反応拡散 | 反応拡散方程式について非定常反応拡散の数値解を得ることができる。 |
必要に応じて講義資料を配布する。
斉藤恭一著 『エンジニアのための化学工学入門』 講談社, ISBN-13: 978-4061543744
山崎郭滋著 『偏微分方程式の数値解法入門』 森北出版, ISBN-13: 978-4627074200
材料システム設計の考え方,及び反応拡散方程式の適用に関する理解度を評価する。小演習(50%), レポート(50%)で成績を評価する。
履修の条件を設けない。
山口猛央: yamag[at]res.titech.ac.jp
田巻孝敬: tamaki.t.aa[at]m.titech.ac.jp
メールで事前予約すること。