エンジニアリングライフサイクルは、プラントライフサイクルを構成する複数の業務ステップ間に相互作用が存在し、一つの業務ステップの不具合は、他の業務ステップの異常として顕在化することが特徴であり、その管理には、対象となるエンジニアリングを管理するためのフレームワークを構築する必要があります。本講義では、プラントライフサイクルを対象として、IDEF0アクティビティモデルを用いて、フレームワークとなる業務プロセスモデルを構築し、そのモデルを用いてプロセス安全管理及び技術体系に関するライフサイクルの問題、例えば「変更管理」、「事故解析」や「プロセス危険度解析」を議論します。 あるべき業務プロセスモデルのためのTemplateアプローチを用い、研究開発プロジェクトを例としてフレームワークを構築する演習およびそのプレゼンテーションを行います。
【到達目標】本講義を履修することで、複数の業務ステップから構成されるプラントライフサイクル業務のあるべき業務プロセスモデルを、IDEF0アクティビティモデルとして構築し、その業務プロセスモデルに基づいて、プロセス安全管理(PSM:Process Safety Management)の問題解析・解決へ適用する方法の習得を目標とする。また、PSMの理解も目標に含まれる。
【テーマ】エンジニアリング業務の実施規範は、Plan、Do、Check、Act業務機能からなるPDCAサイクルであり、あるべき業務プロセスモデル構築には、ライフサイクル業務プロセスを、PDCA業務機能に割り当てることが重要となる。従って、如何にエンジニアリング業務を、業務プロセスとして解析し、階層化するかが業務プロセスモデル構築の鍵となる。
プラントライフサイクルエンジニアリング、プロセス安全管理、ビジネスプロセスモデル、IDEF0
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
テーマごと、ハンドアウトを用いて講義を行い、プロセス安全事故に対する直接原因解析、根本原因解析についてホームワークを課す。業務プロセスモデリングを学んだ後に、あるべき業務プロセスモデルの構築を演習で行い、それの発表を課す。
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | ライフサイクルエンジニアリング概要 | ライフサイクルエンジニアリングの意義と目的 |
第2回 | ライフサイクルの特徴とプロセス安全管理に関するプラントライフサイクルの問題 | プラントライフサイクルの特徴、プラントライフサイクルにおけるプロセス安全管理 |
第3回 | 歴史的なプロセス安全事故 | 事故過程の抽出 |
第4回 | プロセス安全事故の直接原因と根本原因 | 事故過程とプロセス安全管理エラーの関係 |
第5回 | プロセス安全管理のためのライフサイクルモデルの必要性 | プラントライフサイクル業務ステップとPSMの関係 |
第6回 | 業務モデルと業務プロセスモデル | 現状モデルとあるべきモデル、ワークモデルと機能モデル |
第7回 | IDEF0アクティビティモデルのSyntaxとSemantics | モデリング言語としてのIDEF0の文法と意味論 |
第8回 | PIEBASEモデルとモデル化アプローチ | PIEBASE Templateの基本的な考え方 |
第9回 | あるべきIDEF0アクティビティモデルのためのTemplateアプローチ | To-Be modelのためのTemplate Approachのコンセプトの理解 |
第10回 | プラントライフサイクルエンジニアリング業務プロセスモデル | PDCAサイクル |
第11回 | 業務プロセスモデルの応用:変更管理 | 業務機能モデルのトレース |
第12回 | 業務プロセスモデルの応用:事故解析とプロセス危険度解析 | 業務プロセスモデル上のトレースバック |
第13回 | 業務プロセスモデリングツールのチュートリアル | AI0-winチュートリアル |
第14回 | 業務プロセスモデリング演習 | IDEF0モデリング演習 |
第15回 | 業務プロセスモデルプレゼンテーション | IDEF0モデルのプレゼンテーション |
1) 指定なし
2) 授業で扱う全ての資料は、事前にOCW-iにアップする。
指定なし
課題提出、およびリサーチプロジェクトについての業務プロセスモデル構築の演習を行い、プレゼンテーションを実施する。提出課題、モデル構築結果、プレゼンテーション結果を評価して成績評価とします。
化学プロセス設計とオペレーションの理解が不可欠である。
fuchino[at]chemeng.titech.ac.jp
メールで事前予約すること。