2021年度 無機表面化学特論   Advanced Course of Surface Chemistry on Inorganic Materials

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開講元
材料コース
担当教員名
中島 章  松下 祥子 
授業形態
講義     
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
火3-4  金3-4  
クラス
-
科目コード
MAT.C408
単位数
2
開講年度
2021年度
開講クォーター
2Q
シラバス更新日
2021年4月9日
講義資料更新日
-
使用言語
英語
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講義の概要とねらい

 固体表面の構造、性質、評価方法、応用等について幅広く講義します。講義の内容は無機材料を中心にしますが、金属や有機物、イオン結晶や共有結合結晶、半導体、非晶質体など、様々な固体の表面物性に関する内容にも触れ、それらを比較しながら説明することで、所望の固体表面特性を実現するための基本的な考え方や、材料・プロセスの選択に関する知識が身に付くよう工夫します。また、表面処理や表面評価についての技術に関する最近のトピックスについても可能な限り紹介し、単なる知識の付与ではない、大学院レベルの表面化学に関する講義を実施します。
 固体の表面はその材料と、他の物質、光、電子、熱、力、磁気等の直接的なインターフェイスです。この「場」を効果的に制御することにより、バルク固体の性質をうまく引き出したり、バルク固体と異なる性質を表面に付与することが可能になります。この講義では、このような表面機能材料の設計に資する内容、特に構造と組成に着目し、表面物性を制御するための基本的なアプローチ方法を理解し、身につけることを狙いとします。

到達目標

本講義を履修することによって,無機固体表面での様々な機能や特性の発現機構を論理的に考えることができ、さらにそれらを有用な方向に導くための応用的な素養を獲得することを到達目標とします。

キーワード

表面、吸着、濡れ、界面での電荷移動、自己組織化

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

14 回の講義で進めていきます。途中で自習用の練習問題を配布します。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 表面概論: 表面の定義、理想表面と実表面、超高真空を用いる理由 表面の定義、授業の概要を紹介する
第2回 表面構造I: 構造緩和と再構成、表面トポグラフィ、溶解パラメータと粉末材料の分散 表面構造の分類と分散について講義する
第3回 表面構造II: 各種の物質(無機材料、金属、有機材料)の表面構造 各種固体材料の特徴を踏まえ、表面特性について紹介する
第4回 表面の電子状態と物性: 表面に置ける電子状態密度、仕事関数、吸着モデルと分子軌道 主に金属に関して表面の電子状態とその特徴を紹介する
第5回 表面の熱力学: 表面でのGibbs-Duhem式、表面エネルギーとYoung式、MGRモデル 表面の熱力学について講義する
第6回 表面反応速度論 I: 吸着脱離平衡、吸着熱、会合反応 表面での化学動力学について講義する
第7回 表面反応速度論 II: 解離吸着、競争吸着、 表面での化学動力学について講義する
第8回 表面形状の形成例: 自己組織化 興味深い表面形状の形成例として、自己組織化について紹介する。
第9回 微粒子の分散技術と安定化: van der Waals力、水和力、立体斥力 水中にある微粒子間に働く力について紹介する。
第10回 界面での電子のやり取り どのような時に電子のやり取りが界面で生じるかをまとめる。
第11回 計算科学による表面研究 表面研究に使用されている計算手法を具体的に紹介する。
第12回 表面分析法I: 各種プローブ顕微鏡、電子顕微鏡、それに付随する各種分析装置 表面研究に使用されている分析法のうち、特に顕微鏡を使用したものを紹介する。
第13回 表面分析法II: X線など電磁波を利用する分析手法 表面研究に使用されている分析法のうち、特にX線を使用したものを紹介する。
第14回 表面処理、表面形成: 机上の学問から工場の装置まで 工場などで行われている表面処理、表面形成の方法を具体的に紹介する。

授業時間外学修(予習・復習等)

学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。

教科書

特に用いないが、練習問題を配布します。

参考書、講義資料等

・新訂版 表面科学の基礎と応用 (日本表面科学会編:エヌティーエス出版) ・ベーシック表面化学 (岩澤康裕, 中村潤児, 福井賢一, 吉信淳:化学同人) ・表面科学入門 (小間篤, 八木克道, 塚田捷, 青野正和:丸善)

成績評価の基準及び方法

講義内容に関する基礎的事項に関する理解度を、記述式の期末試験で評価します。

関連する科目

  • MAT.A204 : 材料熱力学
  • MAT.C204 : 化学反応動力学(C)
  • MAT.C313 : 界面化学
  • MAT.C411 : 触媒化学特論

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

学部レベルの熱力学、反応速度論、量子力学を理解していること

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