[実験の概要] 本実験では、応用化学系の学生を対象として物理化学実験、分析化学実験の基本操作を教授する。これらの分野に関する3つの実験テーマを設定する。「分光学の基礎」では、代表的な分光法についてその原理と結果の解釈を学ぶ。また「溶液の熱力学的取り扱い」では、固液平衡と凝固点降下について学ぶ。さらに「相分離」では、アミン水溶液、ポリマー水溶液の物理化学について学ぶ。また、実験レポートの書き方についても講述する。
[実験のねらい] 物理化学の基礎概念を理解するには、実際に測定を行い、データの解析により得られた結果を深く考察することが必須である。本実験ではまず、そのために必要な基本操作、基礎知識とともに実験レポートの書き方を講述する。その後3つの実験を通して、測定技術、データ解析能力、レポート作成能力を養う。
本実験を履修することによって、
(1) 物理化学、分析化学一般の基礎概念を修得できる。
(2) 物理化学実験に、分析化学実験に必要な基礎的技術を修得できる。
(3) 実験レポートの書き方を修得できる。
(分光学の基礎)分光学的方法、振動回転スペクトル、赤外吸収スペクトル、原子スペクトル、発光スペクトル
(溶液の熱力学的取り扱い)固液平衡、凝固点測定
(相分離)相律と相図、相分離、相平衡
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
本実験ではまず(1) 第1回のガイダンスで詳しい説明を行う。その後、3グループに分かれて、(2) 分光学の基礎、(3) 溶液の熱力学的取り扱い、(4) 相分離の実験を、グループ分けに従って順番に進める。最終回に、理解度確認のための演習と解説を実施する。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 概要・基本操作の説明 | 実験の概要と基本操作を理解し、実験計画を立案することができる。 |
第2回 | 実験レポートの書き方について | 実験レポートを標準的な書き方で作成することができる。 |
第3回 | 分光学の基礎①:2原子分子の振動回転スペクトル | 2原子分子の振動回転スペクトルと分子構造の関係を説明できる。 |
第4回 | 分光学の基礎②:赤外吸収スペクトル測定 | ハロゲン化水素、一酸化炭素などの振動回転スペクトルの測定と、分子の結合距離、バネ定数の計算ができる。 |
第5回 | 分光学の基礎③:水素原子スペクトル | 水素原子の発光スペクトルとその量子状態の関係を説明できる。 |
第6回 | 分光学の基礎④:水素原子の発光スペクトル測定 | 水素放電管によって水素原子の発光スペクトルの測定し、水素原子の量子状態を決定できる。 |
第7回 | 溶液の熱力学的取り扱い①:固液平衡の理論 | 熱力学関係式を用いた固液平衡の理論について説明できる。 |
第8回 | 溶液の熱力学的取り扱い②:純溶媒(シクロヘキサン)の凝固点測定 | 純溶媒の凝固点の測定原理・測定法を説明できる。 |
第9回 | 溶液の熱力学的取り扱い③:凝固点測定データの解析 | 冷却曲線データを用いて純溶媒と混合系の凝固点を決定できる。 |
第10回 | 溶液の熱力学的取り扱い④:未知試料の凝固点の測定による分子量の推定 | 混合溶液の凝固点測定データをもとに、溶液中の未知試料を推定できる。 |
第11回 | 相分離①:Gibbsの相律と相図 | Gibbsの相律と相図、特に、液体二成分系の相図について説明できる。. |
第12回 | 相分離②:トリエチルアミン-水系の相分離現象の測定 | 液体二成分系であるトリエチルアミン-水混合系の相分離現象を評価できる。 |
第13回 | 相分離③:高分子溶液の性質と相平衡 | 高分子溶液の性質と相平衡、特に、高分子-水系の相平衡について説明できる。 |
第14回 | 相分離④:ポリマー水溶液の相分離現象の測定 | 高分子ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)-水系の相分離現象を評価できる。 |
第15回 | まとめ理解度確認のための演習と解説 | 演習により総合的な理解度を高め,到達度を自己評価する。 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する 予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね50分を目安に行うこと。
『応用化学実験第一』 東京工業大学物質理工学院応用化学系
を初回ガイダンスの前に生協で購入すること。
P. Atkins, J. de Paula著、千原、中村 訳「アトキンス物理化学(下)」第8版(東京化学同人)ISBN-13: 978-4807906963
レポート評価合計(83%)とテスト(17%)で基本操作と各実験テーマの理解度を評価する。
遅刻や課題の未提出を繰り返した場合は不合格とすることがある。
この科目は,「応用化学実験第一b/a」の「履修前提科目」である。
物質理工学院応用化学系の所属学生であること。または、応用化学実験委員会が別途、指定した条件を満たしていること。また本科目は応用化学実験第一b/aとともに応用化学実験第三の「履修前提科目」である。したがって、a/bとb/aの両方を履修すること。